タイトル | 水稲のいもち病とフタオビコヤガの防除要否判定のためのモニタリング法 |
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担当機関 | 上川農試 |
研究期間 | 1999~2003 |
研究担当者 |
橋本庸三 小倉玲奈 水越亨 白井佳代 八谷和彦 |
発行年度 | 2003 |
要約 | いもち病は幼形期 5 日後もしくは止葉始から 1 週間間隔で見歩き調査をし葉いもち病斑 がなければ出穂前の防除は不要である。フタオビコヤガは 6,7,8 月の各下旬に 10 株の被害株 率・葉率を調査し、被害株率 100 %かつ被害葉率がそれぞれ 44 %,65 %,100 %以下なら防除 は不要である。 |
キーワード | いもち病、フタオビコヤガ、モニタリング法、発生対応型防除、イネ |
背景・ねらい | 水稲病害虫に対する発生対応型防除を生産現場で行うためのマニュアル作りを 目的として、防除要否判定のための簡易モニタリング法がないいもち病と要防除水準が設定され ていないフタオビコヤガに対するモニタリング方法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1)いもち病 (1)葉いもち初発から発病株率 10 %程度までは、発病株率の増加は比較的緩やかである。この時 期を要防除時期として茎葉散布を開始すれば、いもち病による被害を防げる(表 1)。 (2)要防除時期を確認するためのモニタリングは、水田1筆につき 1 畦 10 mを 4 カ所まで、離 れた場所を選んで見歩き調査を行う(表 2)。 (3) モニタリングは 7 月 10 日以前には不要であり、止葉始とその 1 週間後に行う。ただし、止 葉始が 7 月 20 日近くになると想定される場合は、止葉始約1週間前(幼穂形成期の約 5 日後) から調査する。また、BLASTAM による周辺数地点の判定結果を補完的に活用する。 (4)モニタリングにより葉いもちが確認されなければ、出穂前の葉いもち防除は不要で、穂いも ちに対する基幹防除のみとする。葉いもちが確認されたら、約 1 週間間隔で基幹防除まで散布す る。出穂期間が長い場合は穂が完全に揃うまで追加散布が必要だが、その後の散布は不要である。 ただし、予防効果主体の薬剤を使用する。 2)フタオビコヤガ (1)切葉試験から求めた被害許容水準(表 3)と飼育試験から得られた幼虫摂食面積(第 1 回目発 生:18.5cm2/頭、第 2 回目:22.9cm2/頭、第 3 回目:24.2cm2/頭)からフタオビコヤガの要防除水 準を設定した。第 1 回目の要防除水準は株当たり幼虫数で 2.7 頭、第 2 回目では株当たり幼虫数 8.7 頭、第 3 回目では株当たり幼虫数 26.0 頭とした(表 4)。 (2)1976 年からの上川・中央・道南農試発生予察成績では、要防除水準に達している年は 1 年の み(道南農試,第 2 回目)であった。よって、本虫に対するモニタリング法は、主要病害虫に対す るモニタリングの際に、10 株の幼虫被害の有無を調査し、被害株率が 100 %に達しているとき にのみに活用し、被害葉率が、第 1 回目は 6 月下旬に 44 %、第 2 回目は 7 月下旬に 65 %、第 3 回目は 8 月下旬に 100 %に達していなければ防除不要と判断する。(表 4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1)本成果は減農薬栽培のための発生対応型防除対策に活用する。 2)減農薬栽培にあたっては、病害の発生を助長しないよう、適正な肥培管理を行う。 3)いもち病に対しては、苗からの持ち込みの影響が大きい場合は本成果は適用できないため、 「イネいもち病の早期多発を防ぐための伝染源対策」(2003 年度、上川農試)に基づく対策 を徹底する。 |
カテゴリ | 病害虫 いもち病 馬 害虫 水田 水稲 農薬 肥培管理 防除 モニタリング 薬剤 |