タイトル | 苦味低減酵素の活性を制御する分子内シャペロン |
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担当機関 | (独)食品総合研究所 |
研究期間 | 2002~2004 |
研究担当者 |
韮澤 悟 |
発行年度 | 2003 |
要約 | タンパク質の分解物(苦味ペプチド)の苦味を低減する酵素(アエロモナスアミノペプチ ダーゼ)の前駆体酵素を解析したところ、その活性を制御する分子内シャペロン領域が存 在することを見出した。 |
キーワード | 苦味低減酵素、アエロモナスアミノペプチダーゼ、苦味ペプチド、分子内シャペロン、前駆体酵素 |
背景・ねらい | 消化吸収性を向上させた食品や機能性食品を製造する際に、食品中に含まれるタンパク質を分解酵素に より処理することがある。しかし、これにより生じるタンパク質の分解物(苦味ペプチド)によって、食 品に苦味が生じてしまうことが、技術開発上の大きなネックとなっている。これまでに我々は、この苦味 を低減する酵素(アエロモナスアミノペプチダーゼ)を単離し、この酵素を大豆タンパク質や乳に含まれ るタンパク質であるカゼインから調製した苦味ペプチドに作用させると、その苦味が急速に低減すること を明らかにした。さらに、苦味低減酵素の前駆体に、酵素の活性発現に必要な分子内シャペロン領域が存 在することを見出した。 |
成果の内容・特徴 | 1.苦味低減酵素(アエロモナスアミノペプチダーゼ)の遺伝子構造を解析したところ、成熟酵素領域の N末端側にプロペプチドが存在することが明らかとなった(図1)。 2.N末端プロペプチドを含む前駆体酵素を生産し、性質を調べたところ、苦味低減酵素の活性化にはN 末端プロペプチドが必須であり、分子内シャペロンとしての役割を担っていることが明らかとなった (図2)。 3.分子内シャペロン領域は成熟領域の酵素活性を阻害していることが明らかとなった(図3)。 4.プロセシング酵素により分子内シャペロン領域を分解すると、酵素が活性化することが明らかとなっ た(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 分子内シャペロン領域を用いて、苦味低減酵素の活性化および活性阻害を行えることから、活性が阻 害されている前駆体酵素とプロペプチドを分解するプロセシング酵素を併用することにより、酵素活性 を任意に発現させることが可能となる。 |
カテゴリ | 機能性食品 大豆 なす |