タイトル | 国産と中国産ネギは無機元素組成で判別できる |
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担当機関 | (独)食品総合研究所 |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
安井明美 堀田博 有山薫 |
発行年度 | 2003 |
要約 | ネギ中のNa, P, K, Ca, Mg, Mn, Fe, Cu, Zn, Sr, Ba, Co, Ni, Rb, Mo, Cd, Cs, La, Ce, Tl 20 元素の濃度を用いて線型判別分析(LDA)または/および SIMCA(Soft Independent Modeling of Class Analogy)を行うことにより,ネギ1本の材料で、国産か中国産かを判別できる。 |
キーワード | ネギ、原産地判別、無機元素分析、ケモメトリックス、線型判別分析、SIMCA |
背景・ねらい | 相次ぐ食品の原産地表示の偽装により、消費者の食品表示に対する不信感が増大している。消費者の食品表示 に対する不信感を払拭するためには、食品の原産地表示を徹底させることが必要である。日本に輸入される生鮮 ネギの大部分は中国産であるが、日本品種の開発輸入によるものであり、品種判別で産地は特定できない。そこ で、無機元素組成によりネギの原産国を判別する手法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1.ネギ中の20元素を定量することにより、ネギ1本の材料で、について国産か中国産かを判別できる手法であ る。 2.LDAでは、モデリングに用いた103試料について97%の適中率で判別できた。このモデルを用いた89試料のネ ギ1本についての予測では94%の適中率が得られた。 3.SIMCAでは、モデリングに用いた103試料を含む192試料について96%の適中率で判別できた。 4.LDAとSIMCAを組み合わせて判断したところ、国産を中国産とする好ましくない誤りは81試料中ゼロだった。 逆に中国産を中国産ではないとする誤りは111試料中7試料あった。両方の手法を組み合わせることで結果 をクロスチェックでき、より信頼性の高い判別を行うことが可能である。 SIMCA:分類したい各クラスについて主成分分析を行うことで最適なモデルを構築し、各モデルからの距離 に基づいて試料を分類するパターン分類手法。 |
成果の活用面・留意点 | 1.過塩素酸対応のドラフトまたはマイクロ波分解装置と、20元素を迅速かつ精確に測定できる誘導結合プラズ マ発光分析計および誘導結合プラズマ質量分析計を保有している機関であれば、データを蓄積している食 品総合研究所と連携してネギの原産国を判別することが可能である。食品表示のチェックを業務としてい る(独)農林水産消費技術センターでの利用が考えられる。 2.信頼性を維持するためには、定期的に産地の確かなネギを入手して分析することでデータを蓄積し、モデル有効性を確認していくことが必要である。 |
カテゴリ | ねぎ 品種 |