変性LDL受容体はオリゴマーを形成して機能する

タイトル 変性LDL受容体はオリゴマーを形成して機能する
担当機関 (独)食品総合研究所
研究期間 2001~2005
研究担当者 町田幸子
発行年度 2005
要約 変性LDL(悪玉コレステロール)受容体(LOX-1)は、分子間S-S結合によるダイマーを基本単位として存在しているが、酸化LDLの認識には受容体濃度に依存したオリ ゴマー化が必須である。またLOX-1は、ビオチン化受容体としての認識能の再構築 が可能である。
キーワード 受容体機能制御、認識能の活用、酸化 LDL 受容体、ビオチン化受容体、受容体チップ
背景・ねらい 受容体は、特異的かつ高感度に様々な分子を認識することから、その分子認識能の評価技術への利 用、評価用素材としての活用が期待されるが、機能制御、安定性、安定供給などに問題があり活用に 至っていない。食品産業における活用のためには、安定性の向上、機能制御などを可能にする基盤技 術の開発に直結する受容体分子の機能発現制御機構に関する知見の蓄積が求められている。そのため に必須な機能発現機構を明らかにすると同時に、機能の再構築を可能にする技術開発を推進する。
成果の内容・特徴 1.変性 LDL 受容体(LOX-1)は、分子間 S-S 結合によるダイマーを基本単位としているが、細胞に おける存在形態を解析すると、LOX-1 はオリゴマーを形成することによりリガンド(変性 LDL) 認識能を発現する(図 1、2)。
2.蛍光タンパク質(CFP)との融合タンパク質として発現させた LOX-1(CFP/LOX-1)の発現量と蛍光 (DiD)標識したリガンド(DiD-AcLDL)の取り込み量を、各々の蛍光強度により定量化した(図 3)。 LOX-1 発現量が閾値以下の細胞集団(緑の集団)では、リガンドの取り込みが観察されず、閾 値以上の細胞集団において LOX-1 発現量に依存した取り込みが観察され(青の集団)、LOX-1 機能発現に必須のオリゴマー化は、受容体の密度に依存して生じる。
3.1.、2.から再構築 LOX-1認識能の活用において、受容体の高密度集積が重要である。 4.LOX-1リガンド認識に必須な領域は、N 末端ビオチン化受容体として大腸菌を宿主として簡 便に大量調製することが可能であり、調製されたビオチン化受容体はストレプトアビジンを介し て、基板に方向性を維持した状態で固定化される。固定化された再構築 LOX-1 とリガンドとの 相互作用を測定した所、リガンド濃度に依存した結合(図 4.縦軸の RU 値が結合量を示す)を示
し、再構築 LOX-1 は、特異的認識能を維持していた。
成果の活用面・留意点 既に特許出願などを完了している受容体認識能の再構築を発展させ、受容体チップとしての活用 を目指した研究への展開が可能である。チップ化においては、認識能の向上、安定化は極めて重要 な課題であるが、LOX-1が生体内ではオリゴマーとして機能しているという知見は、再構築受容体の 改変に積極的に活かすべき情報である。
カテゴリ ごま 評価法

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