黒毛和種の子牛の体重に対する母性効果の影響

タイトル 黒毛和種の子牛の体重に対する母性効果の影響
担当機関 中国農業試験場
研究期間 1994~1994
研究担当者 高橋政義
大島一修
竹之内直樹
島田和宏
発行年度 1994
要約 黒毛和種の子牛の体重について相加的母性遺伝効果など複数の変量効果を考慮したアニマルモデルによって遺伝率を推定した。その結果、子牛体重に対する母性遺伝効果の遺伝率は、生時の0.09から6ヵ月齢の0.38まで漸増することが明らかになった。
背景・ねらい  肉用子牛の生時から2,3ヵ月までの発育に対しては、母牛の乳量が大きな影響を及ぼしていることが知られている。しかし、日本の代表的な肉用品種である黒毛和種の繁殖雌牛の乳量は、特に分娩後1ヵ月前後の乳量が不足しており、その時期の子牛の発育停滞の原因になっている。また、母牛の乳量の個体間差が大きいことから、子牛の出荷時体重の斉一性が損なわれている。泌乳能力改善のためには乳量を測定する必要があるが、多大な労力を要するので、子牛の体重を指標として泌乳能力を推定する方法の確立が望まれる。近年、子牛の発育記録の遺伝学的分析は、両親から受け継いだ個体自身の有する相加的遺伝効果(direct additive genetic effect)と相加的母性遺伝効果(maternal additive genetic effect)など、複数の変量効果を考慮したアニマルモデルによる分散成分の推定が主流になりつつある。本研究では,6ヵ月齢までの子牛の体重に対する母性効果の影響を,遺伝的部分と環境的部分に分けて検討した。
成果の内容・特徴
  1. 分析材料は1938年から1991年の間に中国農業試験場畜産部で生産した黒毛和種の子牛のうち、生後6ヵ月まで月1回の体重記録を有する個体から得た。記録を有する個体数は1097~1107頭(生時体重は1511頭)である。血縁を結ぶために考慮した個体を加えた総個体数は2379頭である。
  2. 表に各種遺伝的パラメータと永続的母性環境効果(maternal permanent environmental effect)の表型分散に対する比率(c2)を示す。1ヵ月齢以後の体重のh2はモデルⅠによる推定値(0.41~0.47)がモデルⅡ、Ⅲ(0.26~0.33)より大きい。
  3. 相加的母性遺伝効果の遺伝率(m2)の推移をみると、モデルⅡでは2ヵ月齢で最高値の0.40を示す。しかし、永続的母性環境効果を考慮したモデルⅢではピ-クの形成は認められず、生時の0.09から6ヵ月齢の0.38まで漸増する。
  4. 永続的母性環境効果の表型分散に対する比率(c2)は1ヵ月齢体重の0.10が最も大きく。3ヵ月齢では0.03に減少する。4ヵ月齢以後は0.00~0.01となり、母性環境効果はほとんど認められない。

成果の活用面・留意点  相加的母性遺伝効果の遺伝率は6ヵ月齢の0.38まで漸増する傾向にあり,育種価推定の際に,母性効果を取り上げた数学モデルを採用することで,8ヵ月齢前後の子牛市場出荷体重を雌牛の泌乳能力の推定に利用できることが示唆された。
図表1 210119-1.jpg
カテゴリ 育種 出荷調整 繁殖性改善 品種

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