牛血中エストラジオ−ル17βの酵素免疫測定法の開発

タイトル 牛血中エストラジオ−ル17βの酵素免疫測定法の開発
担当機関 中国農業試験場
研究期間 1994~1994
研究担当者 高橋政義
大島一修
竹之内直樹
島田和宏
発行年度 1994
要約 マイクロプレートを用いたエストラジオール17β(E2-17β)の酵素免疫測定法(EIA)を開発した。測定感度、測定精度について良好な結果が得られ、本測定を用いて広範囲での牛血中E2-17βの測定が可能である。
背景・ねらい  牛の主要な発情ホルモンであるE2は、主に卵胞顆粒膜細胞から分泌されるため、その測定は卵胞機能を正確に把握する手段として重要である。現在E2の測定はRIAによるものが一般的ではあるが、RIを用いずにルーチンワークとして行なうことを目的として、抗E2家兎血清を作製し、高い精度で測定できるのE2のEIAについて検討した。
成果の内容・特徴
  1. 測定は、試料中または標準液中E2と酵素標識E2とを、マイクロプレートに吸着させた抗体(固相法)に対して競合反応させる競合法を原理としている(図1)。測定に際しては血漿中E2のエーテルによる抽出とカラムクロマトによる精製を必要とする。カラム、充填剤、溶媒はそれぞれ2mlがラス注射等、Sephadex LH-20、ベンゼンーメタノール(17:3)を用いている。
  2. E2-17-hemisuccinate‐BSAを免疫抗原に用いた。得られた抗血清は、8×104~10.2x104倍希釈での使用が可能である。 EIAには1×105倍希釈で用いている。
  3. 本測定法における12種類のステロイド゛ホルモンとの交叉性は,エストロン以外では低い値である。なおEIAに際しては、牛血漿よりE2を抽出ならびに精製し測定試料として用いるため、エストロンとの交叉性の高さについては無視できるものである(表1)。
  4. 0.1~1,000pg/wellの範囲で良好な標準曲線が得られ、測定感度は0.25pg/well以下である。(図2)。
  5. 牛血漿にE2純品を加え測定した結果、10,20,50,100pg/2mlの添加濃度に対し、平均105.2%の測定値が得られ、本測定による測定値は信頼性が高い。
  6. 発情期牛血漿を反復測定し変動係数を求めた結果、測定内ならびに測定外変動係数は各々8.81%(N=10)、9.38%(N=7)であり、本測定の測定再現性は高い。
  7. 抗体固相後、1.5ヵ月の期間、冷凍または冷蔵保存したマイクロプレートを用いても、良好な標準曲線が作成できる。ただし、冷凍または凍結しなかったものと比較すると測定感度の軽度の低下が認められる。抗体を固相したマイクロプレートは、少なくとも1.5ヵ月以内の冷凍または冷蔵が可能である。(図2)
  8. 正常発情周期を営む黒毛和種経産牛について、E2濃度を測定した結果、発情期には12pg/ml以上を、また黄体開花期には6.5pg/ml以下の濃度を示し、卵胞の変化に一致して推移することが確認されている。

成果の活用面・留意点
  1. E2の構造は種特異性がないため、本測定法は他の動物に対しても応用が可能である。
  2. 本法で用いている抗血清はエストロンとの交叉性が高いため、測定に際してはカラムクロマトによる測定試料中E2の精製が必要である。
図表1 210120-1.jpg
図表2 210120-2.jpg
図表3 210120-3.jpg
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