傷害誘導性プロモーターのシス領域の決定とトランス因子の単離

タイトル 傷害誘導性プロモーターのシス領域の決定とトランス因子の単離
担当機関 奈良県農業試験場
研究期間 1996~1998
研究担当者 岡田恵子
荒井 滋
新名惇彦(奈良先端大)
浅尾浩史
発行年度 1996
要約 キュウリのアスコルビン酸オキシダーゼ遺伝子のプロモーターをタバコの培養細胞を用いたトランジェントアッセイと形質転換タバコで解析して傷害誘導に係わるシス領域を決定し、さらにサウスウェスタン法を用いてトランス因子を単離した。
背景・ねらい  植物は、害虫による食害や病原菌による侵入などの傷害ストレスに対する自己防御反応を誘導する。傷害による遺伝子発現制御を理解するためには、各遺伝子の 5' 上流シ ス領域とそれに結合するトランス因子を明らかにする必要がある。
 本研究では、植物における生体防御遺伝子の発現が誘導されるしくみを明らかにすることを目的に、キュウリのアスコルビン酸オキシダーゼ遺伝子(Aso1 )傷害誘導性を解析し、Aso1 遺伝子の 5' 上流に存在すると考えられる傷害信号を受け取るシス因子と相互作用するトランス因子の同定を行う。
成果の内容・特徴
  1. 欠失プロモーターと GUS 融合遺伝子を用いた解析により、Aso1 遺伝子の ATG 開始コドンより上流 -736 ~ -707 bp 30 bp領域が傷害誘導に機能するシス因子であると限定した(図1、図2)。
  2. ゲルシフトアッセイによって、このシス領域と相互作用する核タンパク質因子の存在も確認した。この 30 bp シス領域には AA(A/T)GTATC(C/G)A 10 bp からなる一対の繰り返し配列が存在した。>
  3. ゲルシフトアッセイによって、このシス領域と相互作用する核タンパク質因子の存在も確認した。この 30 bp シス領域には AA(A/T)GTATC(C/G)A 10 bp からなる一対の繰り返し配列が存在した。
  4. シス領域に結合するトランス因子をコードすると考えられるcDNAを2種(TFAO-1 ,TFAO-2 )単離した。TFAO-1 cDNA大きさは約 1.1kb で、873 bp翻訳可能領域が存在した。塩基配列から予想されるアミノ酸配列 (291 aa) によると、TFAO-1 はDNA結合ドメインと成りうる既知のモチーフを有していないが、セリン/スレオニン、およびグルタミンに富む領域が2カ所ずつ存在し、N末付近と C末端付近に酸性領域が存在していた(図3)。
成果の活用面・留意点  Aso1 遺伝子の傷害誘導に係わるシス因子と同様な配列が、傷害によって誘導される遺伝子上に存在したことから、AA(A/T)GTATC(C/G)Aが傷害信号を感知するための保存された配列である可能性が高い。
図表1 210149-1.jpg
図表2 210149-2.jpg
カテゴリ 害虫 きゅうり たばこ

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