水稲施肥診断システムの開発

タイトル 水稲施肥診断システムの開発
担当機関 滋賀県農業試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者 柴原藤善
長谷川清善
武久邦彦
豊岡幸二
発行年度 1996
要約 パソコンを使って、水田の地力窒素発現量、被覆肥料の窒素溶出量および水稲の窒素吸収量を経時的に予測し、適正な施肥量を診断できるシステムを開発した。本システムは、被覆肥料を利用した省肥料環境保全技術の普及に寄与できる。
背景・ねらい  水稲の省肥料環境保全技術を生産現場に普及させるため、土壌条件、栽培条件の差異や気象条件の変化にも対応できる施肥診断システムの開発が期待されている。
 そこで、パソコンを使って、地力窒素の発現量、被覆肥料の窒素溶出量および水稲の窒素吸収量を経時的に予測し、適正な施肥量が診断できるシステムを開発した。
成果の内容・特徴
  1. 本システムは、地力窒素の発現量予測、肥料窒素の溶出量予測、水稲の窒素吸収量予測および水稲の最適窒素保有量に基づく施肥量診断のフローで構成される(図1)。予測式は、いずれも移植後の日平均地温(深さ5cm)の積算値を変数とし、土壌タイプ、品種および肥料の種類に適合したパラメータが予め設定されている。なお、地温は平年値(農試本場)が予め登録されているが、当該年の値なども追加登録できる。
  2. 地力窒素発現量は、可給態窒素含量(湿潤土の湛水培養法によるアンモニア化成量)、作土深およびその仮比重を入力して予測する。肥料の窒素溶出量は、肥料の種類や施肥時期および施肥位置(基肥の場合、全層か側条)を選択して予測する(図2-a)。なお、溶出タイプの異なる被覆肥料を独自にブレンドしたい場合には新たに登録できる。
  3. 水稲窒素吸収量は、地力窒素と肥料窒素とを区別して予測でき、生育診断による推定値や実測値とも対比して、最適窒素保有量に必要な施肥量が診断できる(図2-b)。
  4. 本システムを活用した被覆肥料の基肥重点施用法は、水稲の生産安定と省化学肥料栽培(1~2割節減)が可能で、環境保全型農業技術の普及に寄与できる(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 西南暖地における早期移植栽培に適用できる。また利用者は現場で予測精度を検証し、土壌条件、栽培条件、気象条件に適合するように予測式のパラメータを修正できる。
  2. 現場では、土壌中の可給態窒素含量を迅速に診断する方法が望まれており、リン酸緩衝液などによる抽出法も選択可能なように現在検討中である。
図表1 210211-1.jpg
図表2 210211-2.jpg
図表3 210211-3.jpg
カテゴリ 肥料 栽培条件 水田 水稲 施肥 品種

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