イチジクの収穫期果実腐敗の原因究明とネット袋による物理的防除

タイトル イチジクの収穫期果実腐敗の原因究明とネット袋による物理的防除
担当機関 大阪府立農林技術センター
研究期間 1996~1996
研究担当者 加藤彰宏
細見彰洋
草刈眞一
発行年度 1996
要約 収穫期のイチジクの果実腐敗は、黒かび病菌に加えて酵母菌の一種が原因で、両菌は主にショウジョウバエが媒介する。秋期の油処理の直後に柔軟で微細なネット袋を果実に被せてハエを遮断すると、効率的に果実腐敗を防止できる。
背景・ねらい  イチジク産地では成熟直前の果実の腐敗が収量と品質の著しい低下を招き、生産上の大きな問題となっている。この腐敗は黒かび病として知られるが、腐敗果実からは黒かび病菌以外に酵母菌の一種も分離された。そこで、この酵母菌の病原性とともに、昆虫による両菌の伝搬について調査し、伝搬の物理的遮断により果実の腐敗を防止する。
成果の内容・特徴
  1. イチジクほ場で成熟果実に来訪する昆虫は、キイロショウジョウバエ( Drosophila melanogaster )が最も多く、成虫の体表からは黒かび病菌や酵母菌の一種が分離され(図1)、接種試験ではこれら菌株の病原性が確認される。また、ケージに鉢植えイチジクと成虫を入れると酵母菌による果実腐敗が再現される。したがって、ショウジョウバエはこれら腐敗病の重要な媒介者である可能性が高い。
  2. ナイロン・ポリウレタン製の市販のストッキングを袋状に加工し、樹上のイチジク果実に被せると、ショウジョウバエは袋内に侵入できない。袋の被覆を、果実が成熟する1週間より前に行えば、果実腐敗はほぼ完全に防止できる(図2)。しかし、被覆期間が長期になると、果実腐敗とは別に果実の開口部にカビが発生し易く、特に夏期には袋内へのコナカイガラムシの侵入や、大型昆虫による袋の破損も増える(表1上段)。
  3. 果実腐敗の多発する 8月下旬以降において、油処理の直後にネット袋を取り付ければ、腐敗の防止効果は充分で袋が油処理のじゃまにもならない。また、被覆期間は 8~11日であるため、果実の開口部のカビの発生、カイガラムシの侵入、その他のトラブルも殆ど無い。袋は柔軟で通気性があるため果実を傷つけず、遮光による着色の減退はあるが実用上問題になる程度ではない(表1下段)。
成果の活用面・留意点  黒かび病等によるイチジク果実腐敗の防除にあたり、媒介昆虫対策を重視する。考案したネット袋については、コストと労力性の改善の検討を加え、農薬に替わる防除方法として普及を図る。
図表1 210288-1.jpg
図表2 210288-2.jpg
図表3 210288-3.jpg
カテゴリ 病害虫 いちじく 加工 コスト 農薬 防除

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