ジクロルプロップ剤と収穫ネットを利用したクリの高能率収穫技術

タイトル ジクロルプロップ剤と収穫ネットを利用したクリの高能率収穫技術
担当機関 兵庫県立中央農業技術センター
研究期間 1996~1997
研究担当者 荒木 斉
堀本宗清
発行年度 1996
要約 クリの収穫最盛期の約1か月前にジクロルプロップを散布すると、収穫期に毬と果実が分離して落下する割合が大幅に増加する。さらに、開発した収穫ネットで果実を集めると、慣行の収穫法に比べて3~4倍の収穫能率となり、作業も楽に行える。
背景・ねらい  クリでは、収穫作業が栽培労力全体の30~40%を占め、短期間に集中するため、規模拡大のネックになっており、省力化と軽作業化が重要である。そこで、ジクロルプロップによって毬と果実の分離を促進し、ネットで集め、果実を取り入れる方法を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 収穫最盛期のほぼ1か月前にジクロルプロップを樹冠全体に散布すると、収穫期に毬と果実が離れて落ちる割合(開毬収穫果率)が大幅に増加する(表1)。
  2. 散布濃度は、30~45ppmで開毬収穫果率が高く、果実品質にも影響がない。また、殺虫剤(PAP剤)との混用施用が可能で、メリットが大きい(表1)。
  3. 収穫ネットは捕集ネット(4m×25m、両端にハンドル棒を、中間に5m間隔でFRP製の細棒を縫い付けた)と分別ネット(4m×1m、粗密2重、両端にハンドル棒を縫い付けた)から成る(図1)。
  4. 新収穫法(ジクロルプロップ-ネット収穫法)では、ジクロルプロップの散布により、毬と果実がよく分離したものを、捕集ネットで集め、分別ネット上に移す。未裂開の毬をむき、分別ネットを操作して空毬と果実を分別し、果実だけを取り入れる(図1)。
  5. 新収穫法の収穫能率は単位面積当たり収穫量が多くなるほど高くなり、収穫量10Kg/a以上では収穫能率が100~120Kg/hrと、慣行法(毬をむきながら果実を火ばさみで拾い集める)の3~4倍になる(図2)。
  6. 以上、新収穫法は収穫量が多いほど省力効果が大きく、集約的なクリ園での収穫労力のピークの緩和に特に有効である。作業は楽で、特に腰への負担が軽減できる。
成果の活用面・留意点
  1. ‘丹沢’と‘筑波’ではジクロルプロップ濃度45ppmで、弱小枝、2次伸長部などの一部に葉の黄変、落葉がみられることがある。
  2. ジクロルプロップは未登録であり、使用できないが、収穫ネットは実用可能である。
  3. 収穫ネットの構造は特許出願中である。
図表1 210291-1.jpg
図表2 210291-2.jpg
図表3 210291-3.jpg
カテゴリ 規模拡大 くり 省力化

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