紫外線除去フィルム利用によるブドウの収穫時期調節技術

タイトル 紫外線除去フィルム利用によるブドウの収穫時期調節技術
担当機関 島根県農業試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者 安田雄治
小豆沢 斉
栂野康行
発行年度 1996
要約 ブドウ‘モルゲン・シェーン’及び‘赤嶺’は、紫外線を除去して栽培することにより、葉の老化の遅延と果実の日持ち性の向上を図ることができる。また、紫外線除去フィルムの被覆時期・期間を変えることにより着色-収穫時期の調節ができる。
背景・ねらい  島根県のブドウ栽培面積は約460haであり、‘デラウェア’を中心に超早期加温栽培から露地栽培まで7つの作型で構成され、ハウス栽培のうち約60%が加温栽培されている。このような早期出荷が主体の中で、近年ヨーロッパ系の赤色大粒種が導入され、9~10月に出荷されるようになった。しかし、この時期は他の果樹との競合があり、単価の低迷が問題となっている。そこで、紫外線除去フィルム下での栽培によって、希少価値の高い11月下旬~12月中旬出荷の可能性を検討する。
成果の内容・特徴
  1. モルゲン・シェーン’及び‘赤嶺’ともに紫外線除去(以下UVカット)フィルム下での栽培により新梢の生育が旺盛になる(図1)。また、紫外線を除去して栽培することにより乾物生産量も増加する傾向がある。
  2. UVカットフィルムと、紫外線透過(以下慣行)フィルム下における葉色の推移を比較すると、紫外線除去下では11月中旬まで葉色値が高く保たれる(図2)。
  3. UVカットフィルム下では果色は進まないが、慣行フィルムに交換したのち急速に進み、2週間程度で慣行栽培の果色と同程度になる(図3)。このことから、フィルムの交換時期を変えることにより、着色の調節が可能になる。
  4. 紫外線を除去すると、葉が遅くまで健全に保たれるため、糖度がやや高くなる(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. UVカットフィルムを利用した収穫時期調節技術として特許を出願した。公開特許:公開日平成7年10月24日,特許出願公開番号 特開平7-274744
  2. ブドウの発芽直前にUVカットフィルムを天井被覆し、雨よけ栽培で行う。
  3. UVカットフィルムからUV透過フィルムに交換する時期は、着色に最も良好な気候条件となる10月上~中旬が良いと思われる。それぞれのフィルムは、年1回の使用とする。
  4. 着果期間が長くなるため、慣行栽培より施肥量を約20%程度多くし、収穫期まで樹体内栄養が不足しないようにする。
図表1 210292-1.jpg
図表2 210292-2.jpg
図表3 210292-3.jpg
図表4 210292-4.jpg
カテゴリ 出荷調整 施肥 ぶどう

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