タイトル |
宅配便を利用した豚液状精液の輸送システム |
担当機関 |
岡山県総合畜産センター |
研究期間 |
1995~1996 |
研究担当者 |
関 哲生
田辺武彦
日野靖興
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発行年度 |
1996 |
要約 |
人工授精の普及のため宅配便を利用し、豚液状精液を農家に定期的に供給した結果安定した精液の活力ならびに自然交配と同等の受胎率、産子数が得られた。
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背景・ねらい |
輸入豚肉の急増と多頭化に伴なう衛生対策に対応し、養豚経営の低コスト化と伝染性疾病侵入防止の面から、豚人工授精取り組みの気運が高まった。豚液状精液を宅配便を利用し、農家へ輸送することにより、安定した精液の活力と自然交配に劣らぬ成績が得られるかを調査した。
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成果の内容・特徴 |
- 精液保存液(モデナ液)にアミカシン400㎎/lを添加し、15℃保存で7日後の精子活力は70~75+++で最も優れていた。(表1)
- 精液の温度管理は精液採取後、室温で放置、冷却後、26℃恒温水槽内で保存処理し、2l プラスチックボトルに前述の水やく0.8lとザーメンチューブを入れた。更に19~20℃にセットされたインキュベーター内で約2.5時間冷却後、魔法瓶に移しかえ、包装後、5℃インキュベーターで約2.5時間冷却し、クール宅配便(平均3℃)で輸送(輸送時間約19時間)すると、農家到着温度を15~16℃とすることができた。(表2)
- 輸送容器は市販広口魔法瓶(容量1.2~1.5lザーメンチューブ最大9本)に専用の包装袋(帆布製二重キルティング縫いフィルムポケット付)を使うと、長期の使用に耐え、コンパクト化するため、輸送コストの低減が図れた。
- 輸送容器は1カ月毎に4本まとめて返送することにより、輸送コストの低減につとめた。また回収容器等はホルマリン燻蒸消毒を行った。
- 受胎率は82.8%で自然交配とほぼ同様であったが、産子数は9.6頭で自然交配より0.7頭少なかった。また、自然交配と人工授精を組み合わせた場合は、受胎率及び産子数は自然交配と差がなかった。(表3)
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成果の活用面・留意点 |
- 輸送精液を農家で保存する場合は、精液温度の急激な変化をさけるため専用の保管器具(インキュベーター)で、輸送された魔法瓶(輸送袋から出す)をそのまま使用前まで15℃で保存すること。
- 木曜離乳等計画的な離乳を行い、母豚の発情を揃え、精液の早期利用に努めること。
- 授精前には必らず活力検査を行うこと。
- 授精器具は常に殺菌、消毒し清潔なものを使用すること。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
温度管理
経営管理
コスト
シカ
低コスト
豚
輸送
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