タイトル |
温暖地における放牧・採草用寒地型イネ科牧草の生産性比較 |
担当機関 |
山口県農業試験場 |
研究期間 |
1996~1997 |
研究担当者 |
小橋健
中村照臣
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発行年度 |
1996 |
要約 |
トールフェスク、ケンタッキーブルーグラス、リードカナリーグラスは温暖地においても永続性および収量性が優れ、かつ平準的な季節生産性を示し、放牧あるいはロールベール向け草種として有望である。
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背景・ねらい |
寒地型イネ科牧草の生育適温は一般に15~20℃とされており、高温期間が長い温暖地では夏枯れにより被度の低下が見受けられ、これが草地荒廃の一因となっている。また、近年ロールベール体系の普及によりこれに対応する草種も求められている。そこで、主要な寒地型イネ科牧草9草種28品種を用い、放牧を想定した多回刈りでの生産性について5カ年にわたり調査を行い、温暖地における適応性について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 合計乾物収量の品種平均値でみた草種の生産力はトールフェスクが最も高く、次いで、レッドトップ≧ケンタッキーブルーグラス≧オーチャードグラス≧リードカナリーグラス>ペレニアルライグラス≧ハイブリッドライグラス≧イタリアンライグラス≧フェストロリウムの順となった。短草型草種のレッドトップ、ケンタッキーブルーグラスやリードカナリーグラスは、オーチャードグラス並みかそれ以上の高い生産量が得られた(表1)。
- 年次経過に伴なう冠部被度の減少程度は、ケンタッキーブルーグラス、トールフェスク、リードカナリーグラスで小さく、'94年夏期の高温、干ばつにも耐え、翌年春期の被度も高かった。ハイブリッドライグラス、フェストロリウム、イタリアンライグラスは被度の低下が著しく、造成3年目の'94年には20%以下となった(表1)。
- リードカナリーグラス、ケンタッキーブルーグラス、トールフェスクは、春期収量割合が50%前後と低く、季節による収量変動が比較的小さい草種であった(図1)。
- トールフェスクではナンリョウおよびファルコン、リードカナリーグラスではパラトンが、それぞれ収量性、永続性に優れる品種であった(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- リードカナリーグラスおよびケンタッキーブルーグラスは、造成初年目の春期の生育が劣ることから、利用開始時期を遅らせる。
- リードカナリーグラスは地下茎による強靱な繁殖力を持ち、耐湿性も高いとされていることから、棚田等低未利用地での低投入型放牧利用に向く草種である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
イタリアンライグラス
寒地
くり
さやいんげん
耐湿性
繁殖性改善
品種
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