タイトル |
摂食試験により選定した天蚕の適性飼料樹 |
担当機関 |
滋賀県農業試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
寺本憲之
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発行年度 |
1996 |
要約 |
天蚕の摂食試験により選定したクヌギ、アベマキ、アラカシ(ブナ科)、アメリカフウ(マンサク科)の4飼料樹は、初齢の食いつき、4齢到達率、1~3齢飼料効率、1~3齢発育速度の4要素のすべてにおいて優れている。
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背景・ねらい |
天蚕は、ブナ科、バラ科、ヤナギ科、ヤマモモ科、マンサク科植物等を食べる多食性昆虫である。天蚕幼虫の摂食試験を行い、1~3齢の発育状況等を調査し、各種飼料樹の天蚕幼虫に対する飼料適性を評価する。
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成果の内容・特徴 |
- 稚蚕用飼料は軟葉を用いる。適性飼料樹であっても、硬葉を用いると著しい成育不良が生じる(表1:クヌギ(軟葉)・(硬葉))。
- 1~3齢の飼料効率が高い飼料樹は、クヌギ、アベマキ、ナラガシワ、アラカシ、ブナ、スモモ、コウリュウ、アメリカフウの8種である。
- 1~3齢の発育速度が速い飼料樹は、クヌギ、アベマキ、アラカシ、クリ、ブナ、アメリカフウの6種である。
- 1~3齢の成育期間が短い飼料樹は、クヌギ、アベマキ、コナラ、カシワ、アラカシ、ブナ、アメリカフウの7種である。
- 飼料樹として使用可能なものは28種、総合評価(以下総評)Aが、クヌギ、アベマキ、アラカシ、ブナ、アメリカフウの5種、総評Bが、コナラ、ナラガシワ、カシワ、ウバメガシ、シラカシ、クリ、イタグリ、コウリュウ、フウ、モミジバフウの10種、総評Cが、マテバシイ、カマツカ、リンゴ、アンズ(CF(CにFの要素が含まれる))、ヤマモモ、タイワンフウの6種、総評Dが、シイグリ、イヌシデ、アカシデ、クマシデ、サワシバ、ヒメリンゴ、スモモ(DF)の7種である。ブナは初齢の食いつきがやや悪い。
- 以上の結果より、総評Aのブナを除く4種、クヌギ、アベマキ、アラカシ(ブナ科)、アメリカフウ(マンサク科)は、初齢の食いつき、4齢到達率、1~3齢飼料効率、1~3齢発育速度の4要素のすべてにおいて優れている。
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成果の活用面・留意点 |
アラカシの若葉期間は早春に限られ短い。また、アメリカフウは、1年を通じて葉の硬度が低く、春~晩秋期まで稚蚕用飼料葉としての利用が可能であり、今後、栽培法等を検討する必要がある。
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図表1 |
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カテゴリ |
あんず
かりん
くり
飼料効率
すもも
なす
ばら
ふう
もも
りんご
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