市販牛肉の理化学特性と官能評価

タイトル 市販牛肉の理化学特性と官能評価
担当機関 兵庫県立北部農業技術センター
研究期間 1997~1997
研究担当者 井上喜正
松原甲
田畑広之進
発行年度 1997
要約 牛肉の風味の評価は、オレイン酸/ステアリン酸比と加熱損失の影響を強く受け、多汁性の評価は圧搾肉汁率の値と比例した。風味、多汁性、やわらかさともに最も高い評価を得た肉は、黒毛和種であった。
背景・ねらい  現在の肉質評価は「枝肉取引規格」という視覚、触覚的評価でもって行われており、アミノ酸や脂肪酸等の成分及び保水性等の理化学的評価によるものではない。また、国産牛肉、アメリカやオーストラリアを中心とした輸入牛肉等が競合する小売り市場では、肉質評価が消費者嗜好と一致しない問題が生じている。そこで、市販されている和牛肉、ホルスタイン牛肉、輸入牛肉について、各成分及び理化学特性と官能との比較調査を行った。
成果の内容・特徴
  1. 供試した牛肉は1995年入手の、オーストラリア産(AUS)1検体、アメリカ産(US)2検体、国産ホルスタインB-2級(B-2)2検体、国産黒毛和種A-3級(A-3)2検体の計7検体のリブロースである。また、AUSとUSはチルド状態で輸入直後、B-2とA-3は屠殺6日後に調査した。
  2. AUSとUSの全遊離アミノ酸含量は、B-2、A-3の約1.6倍で、ジペプチドの割合はAUSとUSがほぼ同じ30%、B-2が45%、A-3が50%強である(表1)。
  3. 筋間脂肪酸組成のオレイン酸/ステアリン酸比はA-3が最も高くなり、総飽和脂肪酸(TSF)はA-3が40%以下で最も低く、AUSとUSは50%程度である。皮下と筋間脂肪の組成の差はA-3とB-2で大きく、皮下脂肪の方がオレイン酸/ステアリン酸比が高く、不飽和脂肪酸含量が多い(表1)。
  4. 理化学特性の加熱損失とせん断力はAUSとUSで高く、A-3が最も低い。一方、圧搾肉汁率はA-3が高く、次いでUS、B-2の順で、加熱保水力もA-3が最も高い(表2)。
  5. 官能評価の結果、最も多汁であると評価されたのはA-3、USの順で、圧搾肉汁率の結果と比例する。風味が最も良いと評価されたのはA-3、B-2の順で、オレイン酸/ステアリン酸比及び加熱損失との間で高い相関が認めらる。総合評価ではA-3が最も高く、オレイン酸/ステアリン酸比及び圧搾肉汁率が大きく関与する(表3、4)。

成果の活用面・留意点  国産牛肉およびAUS(グラスフェッド)、US(グレインフェッド)の肉質比較結果である。牛肉の消費者嗜好は、風味に関わる成分と理化学性が強く関与し、国産牛肉は風味面で優位である。
図表1 210378-1.gif
図表2 210378-2.gif
図表3 210378-3.gif
図表4 210378-4.gif
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