あひる人工受精における精液採取法の改良

タイトル あひる人工受精における精液採取法の改良
担当機関 大阪府立農林技術センター
研究期間 1997~1997
研究担当者 笠井浩司
出雲章久
発行年度 1997
要約 あひる精液採取に人工膣法を用いることで、マッサージ法の約5倍の精子数が得られ、精子運動性も向上する。また、人工授精の受精成績も、人工膣法で採取した精液がやや高く、人工膣法は優れた方法と考えられる。
背景・ねらい  肉用あひるの改良において、人工授精は極めて有用な手法であるが、最も基本となる精液の採取が困難で、従来行ってきたマッサージ法は、個体毎、採取毎に結果のばらつきがが大きい。そこで、改良法として、雄を雌に乗駕させて射精を促す人工膣法を検討し、精液の採取成績および人工授精後の受精成績について、従来のマッサージ法と比較する。
成果の内容・特徴  同一群由来の12羽の雄を、人工膣法、マッサージ法に各6羽ずつ無作為に振り分け、約2週間の訓練を行った結果、両手法とも6羽中5羽からの精液採取が可能になった。これらの雄からの精液採取成績(個体別、5回反復)を比較し、以下の結果を得た。
  1. 人工膣法では、マッサージ法に比べ、約5倍(平均)の精子数が得られる(図1)。
  2. 精子の運動性についても人工膣法由来の精液において高い(P<0.05,図2)。
  3. マッサージ法が助手を要するのに対し、人工膣法では1人での精液採取が可能である。
    両手法由来の精液のうち、糞尿による汚染のないものを各々混合して雌に人工授精し、受精成績(人工授精後1週間)を比較した結果、

  1. 人工膣法において、やや高い傾向が認められる(図3)。
 以上のことから、あひる精液の採取において、人工膣法は従来のマッサージ法に比べ、極めて効率の良い手法と考えられる。
成果の活用面・留意点  人工膣法により、量、質ともに安定した精液の確保が可能になるので、優良雄選抜のための能力検定や、斉一性の高い素ヒナ生産への応用が考えられる。ただし、良好な精液採取成績を保つには、雄の乗駕欲の過剰な亢進や減退を避けるため、週1回程度の精液採取をコンスタントに実施する必要がある。また、最適採取頻度については今後、明らかにする必要がある。
図4 
図表1 210388-1.gif
図表2 210388-2.gif
図表3 210388-3.gif
図表4 210388-4.gif
カテゴリ アヒル

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