兼業農家層への水稲直播栽培技術の普及条件

タイトル 兼業農家層への水稲直播栽培技術の普及条件
担当機関 奈良県農業試験場
研究期間 1997~2001
研究担当者 :  藤本高志
発行年度 1997
要約 特別調整水稲カウントを前提とし,兼業農家層に直播を導入する場合,湛水直播では減収率10%以下,不耕起乾田直播(播種作業委託)では減収率15%以下を確保できれば,稲作部門所得が低下せず,しかも生産費が低下し,休耕田の発生を抑制できる。
背景・ねらい  近年,稲作の生産性向上をねらい,直播栽培技術が注目されている。しかし,収量の低位不安定性,省力化効果の低さ,規模拡大よる収益性・生産性向上効果の低さによって,普及が進んでいない。そこで,新たな2つの視点を考慮し,普及条件を検討した。1つは,普及対象を従来の大規模稲作経営から,兼業農家など小規模稲作経営としたことである。2つは,特別調整水稲カウント(直播実施による減収率に実施面積を乗じた面積を生産調整実施面積とする)を考慮したことである。対象とした直播技術は,湛水直播(散播),不耕起乾田直播(播種機所有の場合:アタッチ播種機4条,耐用年数8年,取得価格105千円),不耕起乾田直播(播種作業を委託する場合:委託料金10千円/10a)である。
成果の内容・特徴  経営水田面積90aの農家を前提とし,生産調整目標面積率45%(奈良県),特別調整水稲カウントを直播実施面積の14%(奈良県の場合,減収率=14%)とすれば,水稲作付面積は,全面積移植の場合50a,全面積直播の場合58aとなり,8aの休耕田の発生が抑制できる(表1)。
 10a当り労働時間の増減は,移植に比べて,湛直の場合6.7時間減少,不耕起乾直(播種機所有)の場合13.2時間減少,同(播種委託)の場合14.2時間減少であった(表1)。
 10a当り経営費の増減は,湛直の場合15千円減少,不耕起乾直(播種機保有)の場合12千円増加,同(播種委託)の場合21千円減少であった(表1)。
 直播による減収率と所得の関係(図1)から,直播所得>移植所得を満たす減収率上限値を計算した結果,湛直の場合11%,不耕起乾直(播種委託)の場合15%となる。しかし,不耕起乾直(播種機所有)の場合は,減収率0%でも,移植所得に及ばない。また,直播による減収率と玄米60kg当り生産費の関係(図2)から,直播生産費<移植生産費を満たす減収率上限値は,湛直の場合13%,不耕起乾直(播種委託)の場合22%,同(播種機所有)の場合5%となる。
 以上の結果、湛播では減収率約10%以下,不耕起乾直では,播種委託の場合に限り,減収率約15%以下であれば,所得が低下せず,しかも生産費が低下し,休耕田の発生を抑制できる。
成果の活用面・留意点  生産調整目標面積率及び特別調整水稲カウントにおける減収率は,府県によって異なる。
図表1 210392-1.gif
図表2 210392-2.gif
図表3 210392-3.gif
カテゴリ 乾田直播 規模拡大 経営管理 直播栽培 省力化 水田 水稲 播種

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