大阪府の花き卸売市場整備による地元生産者への影響とその対応

タイトル 大阪府の花き卸売市場整備による地元生産者への影響とその対応
担当機関 大阪府立農林技術センター
研究期間 1997~1998
研究担当者 大江正温
内藤重之
発行年度 1997
要約 大阪府では、花き卸売市場整備により切花流通の大半が大規模地方卸売市場に集中することとなった。これへの対応として府内の旧産地でも共同販売への動きがみられるが、今後さらに販売体制を強化し、産地銘柄化していく必要がある。
背景・ねらい  大阪府では平成5年から6年にかけて花き卸売市場の統合整備が行われ、切花の流通は著しく変化している。そこで、大阪府内の花き卸売市場に対する聞き取り調査と切花生産者に対するアンケート調査の結果から、花き卸売市場の整備によって府内の生産者がどのような影響を受けており、それに対してどのように対応しているのかを明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 花き卸売市場整備によって、切花を取り扱う府内の花き地方卸売市場数は19市場から6市場へと大幅に減少した。大規模既設のA市場と新設のB市場、C市場とをあわせた3つの大規模市場に地方卸売市場流通量の9割以上が集中している(表1)。
  2. 大規模卸売市場では最近になって農協・連合会など出荷団体からの集荷割合が著しく高まってきており、個人生産者からの集荷割合は2割以下に低下している(表1)。
  3. アンケート調査結果によると、生産者の多くが卸売市場整備によって「個人出荷の荷の価格が安くなった」(44%)、「少量では出荷しにくくなった」(34%)と指摘しており、卸売市場の大型化に対して「共販を始めた」(20%)、「出荷する卸売市場を変えた」(16%)といった対応策を講じている生産者が見受けられる(図1)。
  4. 卸売市場が大規模化すると、セリ時に品質を見極めることが難しくなることから、銘柄化された共同販売の荷は総じて個人販売の荷よりも高価格で取引されている。大阪府の特産花きであるフリージアとアイリスについて品質的に差のないa市産とb市産の市場価格を比較すると、早くから共同販売に取り組み、厳格な規格化によって銘柄化されたa市産の荷はb市産の個人販売の荷や最近開始した共同販売の荷よりも概ね高値となっている(表2)。
  5. これらのことから、大阪府内の切花生産者が産地を維持していくためには、さらに組織化を進めるとともに、販売体制を強化して産地銘柄化していくことが必要である。

成果の活用面・留意点 産地の販売体制を整備する際には、卸売市場との結合関係に留意する必要がある。
図表1 210401-1.gif
図表2 210401-2.gif
図表3 210401-3.gif
カテゴリ アイリス 出荷調整 大規模化 フリージア

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