糖蜜の土壌かん注処理によるクリ幼木の凍害防止法

タイトル 糖蜜の土壌かん注処理によるクリ幼木の凍害防止法
担当機関 兵庫県立中央農業技術センター
研究期間 1997~2000
研究担当者 荒木 斉
堀本宗清
発行年度 1997
要約 クリの凍害に対して、1月中旬、根域土壌に糖蜜(精糖廃蜜)をかん注処理すると、冬期間の枝水分の増加が抑制され、極めて高い防止効果がみられる。また、処理に伴う春以降の生育への影響は認められない。
背景・ねらい  西日本におけるクリの凍害は暖冬年に多く、2~5年生の幼木園で多発している。これまでの研究から、凍害の発生は根の発達程度、 根の吸水開始時期と関係していることがわかった。そこで、冬期の根の吸水抑制によって凍害防止を図るため、糖蜜の土壌かん注処理の効果とその後の生育に及ぼす影響を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 暖冬年の無処理樹では、平年より早く、1月中旬から枝水分が増加し、凍害が多くなる(表1、図1)。
  2. 凍害の発生が予測される暖冬下では、幼木に対し、1月中旬に糖蜜を土壌かん注処理すると、枝水分の増加が抑制され、凍害が回避できる(表1、図1)。 
  3. 糖蜜(精糖廃蜜:Brix 77.2、全糖分 50.2%)の処理量は2、3年生樹の場合、1樹当たり5kgで十分な効果が得られる。処理濃度は4倍液よりも2倍液のほうが効果が高い(表1)。
  4. 糖蜜液は、2年生樹では株元から半径 0.7m内、3年生樹では1m内の土壌表面にまんべんなく注ぎ、根域土壌中に浸透させる。
  5. 処理後の生育はとくに問題がなく、 処理に伴う新梢伸長抑制等の影響は認められない (表2)。
  6. 4年生樹では、根域が広く、深くなるため、糖蜜液の浸透、到達が不十分となり、凍害を受けるものがあり、効果が不安定になる(表3)。

成果の活用面・留意点
  1. 透水性の悪い土壌では、糖蜜液が根域全体によく浸透するように地表面を軽く耕す、2~3回に分けて注ぐなどの注意が必要である。

図表1 210404-1.gif
図表2 210404-2.gif
図表3 210404-3.gif
図表4 210404-4.gif
カテゴリ くり 凍害

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