タイトル |
人工培地素材を用いた夏期地中冷却によるウンシュウミカンのハウス栽培 |
担当機関 |
和歌山県果樹園芸試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
鯨 幸和
菅井晴雄
大橋真人
尾崎 健
北野欣信
野見陽一郎
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発行年度 |
1997 |
要約 |
ウンシュウミカンのハウス栽培で、パーライト+ピートモス9:1混合素材を培地として用い、養水分管理を簡易化する。夏期に地中冷却を行うことにより、加温、収穫時期が前進化し、高品質果実の4月収穫が可能になる。
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背景・ねらい |
ウンシュウミカンのハウス栽培は管理に経験を要するうえ、コストや労働力の負担も大きい。そこで、肥培管理の省力化と軽労働化、および連年安定生産を両立するため、理化学性の安定した人工の資材を培地として用い、養水分管理をマニュアル化する。また、さらに収益性を高めるため、夏期に培地を冷却し超早期(4月)に収穫を行う。
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成果の内容・特徴 |
- 木枠ベッド(長さ6m、深さ30cm。樹間0.8m、ベッド幅0.6m。)に植栽した「上野早生」を供試し、セラミック水分センサー、電磁弁等でかん水を自動化する(図1)。パーライトおよびピートモスを9:1に混合した素材を培地とし、1樹あたりの培地量を100リットルとする。断熱材等でベッドを被覆し、あらかじめ冷却パイプを埋設しておく。
- 配合肥料(N:P:Kが5:4:3)を水に溶かし、冷却期間と水切り期間を除いて月に1回施用する。3年生(未結果)までは1回あたり窒素施用量を1.0g/樹、4年生で1.5gとすることで栄養成長、結実ともに優れる(図2、3)。
- 果実横径が35mmに達した時点でかん水開始点をpF2.4(葉の水ポテンシャルψmax =-1.0MPa相当)に、また1回あたりのかん水量を5mmにそれぞれ制限することによって、4年生で糖度11以上のS級果を収穫できる(表1)。
- ヒートポンプ装置を用いて、13℃の設定で7月上旬から10月中旬まで冷却を行うことにより、花芽分化が促進され、10月中旬より加温開始可能となり、4月中に収穫できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 管理全般をマニュアル化することができるため、ハウス栽培の経験がない農家にも使用できる可能性がある。
- ハウス設置園土壌の化学性、物理性に左右されないため、従来不適地とされていた園地においても栽培が可能である。
- 施設費、苗木代等のコストがかかるため、大苗(5年生以上)移植によって早期の収益性を高める必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
温州みかん
コスト
省力化
ヒートポンプ
肥培管理
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