高温条件を利用したイチゴうどんこ病の防除

タイトル 高温条件を利用したイチゴうどんこ病の防除
担当機関 奈良県農業試験場
研究期間 1997~1997
研究担当者 岡山健夫
杉村輝彦
西崎仁博
発行年度 1997
要約 イチゴうどんこ病は、育苗中や栽培中のイチゴを気温30~35℃の高温条件に置くことによって発病を抑制できる。また、処理前にDBEDC乳剤やミクロブタニル水和剤などの薬剤を散布すると補完効果がある。 
背景・ねらい  イチゴうどんこ病の防除には、主にDMI剤による薬剤散布が行われているが、耐性菌が出現しやすく、効力が低下する傾向がある。発病には温度の影響が大きく、高温になると発病が抑制される。そこで、高温処理による発病抑制効果を明らかにした。
成果の内容・特徴
  1. 人工気象器で30~35℃の高温条件に5日間遭遇させた罹病苗は、処理終了2週間後に発病が見られなくなり、顕著な防除効果が認められる。5週間後にはわずかに発病するが、効果は長期間持続する。ただし、32、35℃では葉柄の黒変や枯死株が出現し、高温ほど発生しやすい(表1)。
  2. ビニルトンネルと底面給水を利用した苗の高温処理は、6月中旬から2週間行うと、発病苗は菌糸が収縮して沈んだ状態になり、分生子は収縮して消失する。処理苗は処理2週間後になっても無処理苗との発病差が著しい(表2)。
  3. 苗の高温処理は、10月下旬からの処理ではやや効果が劣るが、処理前にミクロブタニル水和剤を散布すると補完効果がある。薬剤散布後の苗は高温処理開始5日後に、葉上の分生子が消失して効果が現れ、定植後の発病が抑えられる。しかし、本圃定植後に行ったハウス内の高温処理は温度確保が難しく、効果が劣る(図1)。

成果の活用面・留意点
  1. 処理中はイチゴの生育状態に注意して、小葉や葉柄の褐変などの異常が認められたときには処理を中止する。
  2. 高温処理時間は連続では3日以上で効果が現れるが、ビニルトンネルと底面給水を利用した高温処理では、30℃以上の経過時間が少ないと効果がない。
  3. 簡易なビニルトンネルでは、温風暖房機や電気ヒーター等の加温装置を併用すると処理時期が拡大できる。
  4. 花芽分花期以降の処理については、花芽形成や収量に及ぼす影響を調査する必要がある。

図表1 210425-1.gif
図表2 210425-2.gif
図表3 210425-3.gif
カテゴリ 病害虫 育苗 いちご うどんこ病 栽培技術 耐性菌 防除 薬剤

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