タイトル |
酸化銀および銀イオンを用いた養液栽培における病害防除 |
担当機関 |
大阪府立農林技術センター |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
岡田 清嗣
草刈 眞一
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発行年度 |
1997 |
要約 |
銀の酸化物である酸化銀および可溶性の硝酸銀等銀化合物30ppbを水耕培養液 に添加することによって、根腐病菌遊走子が殺菌され、水耕栽培におけるキュウリ、ミツバ根腐病の発生を防止することができる。
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背景・ねらい |
銀イオンは微生物に対して極めて高い殺菌効果を有しており、また、その金属酸化物は水中で活性酸素を放出することにより、微量で極めて高い殺菌効果を示すことが知られている。この性質を利用して、養液栽培で発生する培養液伝搬性病害(根腐病・疫病等)の銀化合物添加による防除技術を開発し、養液栽培における生産安定化をはかる。
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成果の内容・特徴 |
- 硝酸銀、硫酸銀、酸化銀の溶液は、Pythium aphanidermatum 、P.mriotylum 、P.sp. typeFの遊走子に対して30ppbで遊走子の運動を阻害し、50ppbで発芽を完全に阻害する(図1)。
- キュウリ根腐病(P.aphanidermatum )に対して硝酸銀を用いて発病抑制効果を調査したところ10ppbで発病が認められたが、30ppb以上では発病が抑制される(表1)。
- キュウリに対する障害は、硝酸銀濃度50ppb以上でやや生育抑制が認められ、100ppb以上で生育抑制が顕著となり、100ppmでは、植物体が枯死する(図2)。
- 銀酸化物を被覆した布(オクトクロス@ )を用いて防除試験を試みたところ、1t規模の水耕装置で培養液中の銀濃度が40ppb(布面積 3cm2 /リットル)でキュウリ根腐病の発病をほぼ抑制し(図3)、キュウリに対する障害は認められない。
- オクトクロスの根腐病抑制効果は、ミツバ根腐病(P.sp. type Fによる)についても有効である。
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成果の活用面・留意点 |
- 水耕培養液中にオクトクロスを添加する場合、銀の溶出に72時間の時間経過が必要である。
- 2次感染防止が目的で、発病前に処理する必要がある。根腐病菌の遊走子に感染した植 物体は、銀資材添加後も枯死する。
- 過剰量の投与、低pHでは作物に対して生育障害の生じる恐れがある。農薬としての登録はない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
きゅうり
水耕栽培
根腐病
農薬
防除
みつば
養液栽培
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