タイトル |
ナミテントウ幼虫の放飼比率とハウス栽培ナスのアブラムシ類の防除効果 |
担当機関 |
兵庫県立中央農業技術センター |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
河野 哲
藤富正昭
山下賢一
足立年一
|
発行年度 |
1997 |
要約 |
ハウス栽培ナスに発生するワタアブラムシ、モモアカアブラムシに、捕食性天敵のナミテントウ2齢幼虫を400:1比率で放飼すれば、1週間以内にアブラムシを絶滅させることができる。
|
背景・ねらい |
施設栽培の果菜類や果樹類では、アザミウマ、ハダニ、アブラムシ類等の微小害虫の加害により商品性が著しく損なわれる。これらの年間発生回数は多く、殺虫剤散布が増加し、その効果が減退するケースが多い。そこで、農薬使用を軽減するため、天敵類を利用した防除法の実用化が求められている。今日、難防除害虫となったアブラムシ類防除のため、ナミテントウが有望であり、これを用いた防除法について検討する。
|
成果の内容・特徴 |
- ガラス温室内で、ワタアブラムシ、モモアカアブラムシの発生した鉢植ナス(径30cm)に、孵化日の揃ったナミテントウ2齢幼虫を 100:1~1600:1と比率を変えて7月中旬に放飼したところ、いずれの比率でも5~7日でほぼアブラムシを食い尽し、捕食効果が高い(図1)。
- ナミテントウ2齢幼虫の放飼比率が 400:1より低くなると、アブラムシがわずかに残るが、それより高くすると、安定してアブラムシの発生を抑制する。
- ナミテントウは23℃、16時間照明の恒温器内で、コムギ(マルチムギ)の幼苗を用いて増殖したムギクビレアブラムシを餌に、室内で小規模累代飼育できる(図2)。
- テントウムシに対する農薬の影響は、卵に対して昆虫成長制御剤(IGR剤)影響が少なく、有機りん剤、ピレスロイド剤、クロロニコチニル系剤など多くの薬剤の影響が大きい。幼虫に対して昆虫成長制御剤(IGR剤) 、ダニ剤の影響が少なく、有機りん剤、ピレスロイド剤などの影響が大きく、卵と同様の傾向である(表1)。
|
成果の活用面・留意点 |
- ナスではアブラムシ類が芯葉に発生する初期にナミテントウを放飼すると効果が高く、すす病が発生するほど多発してからでは効果が期待できない。
- アブラムシ以外の害虫対策には、それぞれの天敵を用い、やむを得ず化学農薬を利用する場合には、ナミテントウ等天敵に対し影響の少ないものを選ぶ。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
カテゴリ |
病害虫
害虫
施設栽培
なす
農薬
微小害虫
防除
薬剤
わた
|