タイトル |
灰色低地土水田群からの年間の栄養塩類流出量 |
担当機関 |
滋賀県農業試験場 |
研究期間 |
1993~1995 |
研究担当者 |
園田敬太郎
岡本佐知子
大橋恭一
田中靖志
徳田裕二
北野亮
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発行年度 |
1997 |
要約 |
灰色低地土水田群からの栄養塩類流出量を3年間調査したところ、水稲作付期は窒素で-0.5kg/ha、リンで+8.0kg/ha、水稲非作付期では各々+2.7kg/ha、+0.5kg/haとなる。水稲作付期の窒素流出量は、10年前と比べ低下が認められる。
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背景・ねらい |
1982年に稚苗移植水稲の生育改善ならびに水質保全に寄与する追肥重点施肥法が確立されて以来10年が経過し、ほぼ普及定着した。近年の琵琶湖の水質は横ばいの状況にあることから、農耕地の90%以上を占める水田群からの年間栄養塩類流出量の実態を把握するとともに、さらなる流出軽減技術の確立を図り、環境調和型農業の推進に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 調査地域は琵琶湖東部の平坦地にあり、土壌は中粗粒灰色低地土で調査対象水田面積は 3.9haである。水の流入・流出は作付期2400~3400mm、非作付期480~490mmであった(表1)。
- 水稲作付期の窒素流出量(降水、用水負荷差引)は、3年間の平均で-0.5kg/haと浄化型となり、前回調査値(1982年,同一地域で+7.4kg/ha)と比較し、改善効果が認められる(表2、参考)。時期別には代かき~田植時期と追肥~中干し時期に流出が多くなる。
- 水稲作付期のリン流出量は、3年間の平均で +8.0kg/haと前回調査値( +0.4Kg/ha)より多くなった。これは、1993年の多量降雨時の流出量が極めて多くなったことが一因であると考えられる(表2、参考)。
- 水稲非作付期では、水稲・藻類による吸収がなく、脱窒等の水田の浄化機能が低下し、窒素の形態が主に硝酸態窒素で土壌に吸着されにくいことから、窒素流出量は2年間の平均で+2.7kg/haと負荷型となる(表3、参考)。
- 非作付期のリン流出量は、土壌が酸化状態にあり、リン酸が難溶化するため平均で+0.5kg/haと作付期に比べて少なくなる(表3、参考)。
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成果の活用面・留意点 |
- 水稲作付期の流出量は特に田植前後および追肥~中干し時に多いことから、浅水代かきの励行、中干し時の自然減水等の水管理を徹底するとともに緩効性肥料の利用による側条施肥田植機の普及を図る。
- 水稲非作付期の窒素流出負荷を軽減する土壌管理法を検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
水田
水稲
施肥
水管理
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