タイトル |
有機質資材連用圃場における土壌微生物バイオマスN量の特徴 |
担当機関 |
奈良県農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
古川 康徳
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発行年度 |
1997 |
要約 |
有機質資材の連用圃場では、土壌微生物バイオマスN量の増大に有機質資材と有機肥料の組合せが有効であり、バーク堆肥+牛糞堆肥が優れ、稲わら堆肥に化学肥料を施用した場合は低下する。
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背景・ねらい |
有機物連用による土壌の理化学性の向上についての指標として、陽イオン交換容量や腐植含量、C/N比等が用いられているが、有機物を投入する場合には、その分解過程に介在する土壌微生物のはたらきを考慮する必要がある。そこで、過去9年間有機質資材を連用(年2回施用)し、同一施肥及び作付け体系を行った圃場(表1)について、有機質資材や肥料の種類による土壌微生物バイオマスN量(以下バイオマスNと言う)への影響を検討し、有機質資材や肥料の効率的施用の基礎資料とする。
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成果の内容・特徴 |
- バイオマスNはスイートコーン栽培跡、9月播きホウレンソウ栽培跡の2回、クロロホルムくん蒸培養法により測定したが、いずれもよく似た傾向を示し、培養期間中のバイオマスNの発現は、くん蒸培養後15日目頃から明確な違いが見え始め、20日目以降はほぼ横ばいで推移している(図1)。また、バイオマスNは、全炭素含量と有意な相関関係をもつ(表2)。
- 有機質資材による影響
バイオマスNは、稲わら堆肥よりもバーク堆肥+牛糞堆肥施用の方が高く、有機質資材無施用は著しく低い(図1-1),2))。
- 肥料の種類による影響
- 有機質資材として稲わら堆肥を用いると、バイオマスNは、無肥料に比べて有機肥料が高く(40mg/kg程度)、化学肥料は明らかに低い(図1-3))。
- 有機質資材としてバーク堆肥+牛糞堆肥を用いると、バイオマスNは40~50mg/kgと高く、有機肥料と無肥料に差はない(図1-1),2)。
- 有機質資材を用いないと、バイオマスNは10mg/kg程度と低く、無肥料と有機肥料に差はない(図1-4))。
- 年間養分投入量とバイオマスNとの間に相関は見られないことから(表2)、バイオスNの増減には投入N養分量よりも有機質資材や肥料の種類が深く関わり、その増大には有機質資材に有機質肥料の組合せが効果的である。
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成果の活用面・留意点 |
本成果は土つくりの指標のひとつとして、また有機質資材の効率的施用方法を確立する基礎資料となる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
土づくり
肥料
くり
施肥
ほうれんそう
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