タイトル |
水稲新品種「晴るる」の育成と奨励品種採用 |
担当機関 |
山口県農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
井上浩一郎
吉永 巧
金子和彦
山榮午朗
小田俊光
松本 理
中司祐典
藤岡正美
尾本芳昭
齊藤康正
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発行年度 |
1997 |
要約 |
「晴るる」は本県の主力品種である「ヤマホウシ」の食味や耐倒伏性の改善を目標として育成した短稈、良食味の極早生品種である。概ね標高50m以上の中山間地域における良食味地帯を中心に普及を図る。
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背景・ねらい |
米の供給過剰基調の中で、厳しい産地間競争に対応するため、本県独自の優良品種の育成が望まれている。中でも、本県の主力品種である「ヤマホウシ」の食味改善を主体とした新品種の育成が早急な課題となっている。
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成果の内容・特徴 |
- 「晴るる」は平成2年に徳佐寒冷地分場で「ヤマホウシ」に「コシヒカリ」を交配し、翌年に雑種第1代で葯培養を行い、その後系統選抜を行った。平成6年には奨励品種決定調査予備試験に供試し、系統「徳育35号」を選定した。平成7年から「山口1号」の系統名を付け、生産力検定試験及び現地試験に供試した。
- 出穂期は「コシヒカリ」より2日遅く、「ヤマホウシ」より6~7日早い。 成熟期は「コシヒカリ」より4~5日遅く、「ヤマホウシ」より6~7日早い、極早生種である。
- 稈長は「コシヒカリ」や「ヤマホウシ」より7~10cm短く、耐倒伏性はやや強である。穂長は「ヤマホウシ」より短く、「コシヒカリ」並である。穂数は「ヤマホウシ」より多く、「コシヒカリ」並で、草型は中間型に属する。
- 芒はなく、ふ先色は黄白で、脱粒性は難である。
- 障害型耐冷性はやや強である。穂発芽性はやや難である。
- いもち病の圃場抵抗性は、葉いもち、穂いもちともにやや弱である。白葉枯病抵抗性は「コシヒカリ」並の中である。
- 収量性は「ヤマホウシ」並である。玄米の粒大は「ヤマホウシ」よりやや大きい中粒である。玄米品質は「コシヒカリ」や「ヤマホウシ」並の上の中である。
- 食味は「ヤマホウシ」を上回り、「コシヒカリ」に近い良食味である。また、玄米中窒素濃度は「コシヒカリ」や「ヤマホウシ」より安定して低い。
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成果の活用面・留意点 |
- 栽培の適地は、概ね標高50m以上の中山間地域で地力中庸以上の水田である。
- いもち病抵抗性が劣ることから多肥栽培は避け、いもち病の多発地帯では適期に防除を行う。
- 過繁茂になって下葉の枯れ上がりが大きくなると熟むらを生じる場合があるので、過密植、多肥栽培及び早期落水を避けるとともに、刈り遅れにならないように注意する。
表1、表2
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
新品種
水田
水稲
中山間地域
抵抗性
品種
防除
良食味
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