ナスへのペルオキシダーゼ遺伝子の導入

タイトル ナスへのペルオキシダーゼ遺伝子の導入
担当機関 奈良県農業試験場
研究期間 1997~1998
研究担当者 岡田恵子
浅尾浩史
荒井 滋
新名惇彦(奈良先端大)
発行年度 1997
要約 ナス属植物(千両二号、ヒラナス、カレヘン)の胚軸へアグロバクテリウムを感染させ、西洋ワサビのペルオキシダーゼ遺伝子を導入して、ペルオキシダーゼ活性の高い形質転換体を得た。
背景・ねらい  植物は、害虫による食害や病原菌による侵入などの傷害ストレスに対して種々の自己防御反応を誘導する。その一つとしてペルオキシダーゼのリグニン合成による耐病虫害性反応がある。
 本研究では、耐虫性ナスの作出を目的に、植物の傷害ストレスに対して防御反応を誘導する西洋ワサビのぺルオキシダーゼ遺伝子(prxC2)の導入を試みる。
成果の内容・特徴
  1. 播種後10日目のナス属植物(千両二号、ヒラナス、カレヘン)の胚軸に、35S- prxC2を組み込んだバイナリーベクター(pBI101Hm)を持つアグロバクテリウム(EHA101)を感染させ、2日間の共存培養後、カナマイシンを含む培地で選抜する。千両二号では1034切片から12個体(1.2%)、ヒラナスでは1729切片から41個体(2.4%)、カレヘンでは400切片から2個体(0.5%)発根した再分化個体が得られる(表1)。
  2. Isoplant(ニッポンジーン)キットを用いて再分化個体の葉から単離したDNAを鋳型にしてPCRを行い、千両二号の2個体、ヒラナスの5個体、カレヘンの1個体は導入した遺伝子(prxC2)が確認できる。
  3. prxC2導入を確認した個体の葉から粗酵素液を抽出し、オルトアミノフェノールを基質とした反応により生成するイソフェノキサジンの可視領域480nmの吸収増加を分光光度計で測定することによってペルオキシダーゼ(POD)活性を算出する。prxC2を導入した千両二号では対照個体の約6.4倍のPOD活性を示し、prxC2を導入したヒラナスでは対照個体の約4.7倍のPOD活性を示す個体が認められる(表2)。
成果の活用面・留意点  供試した品種で形質転換体が得られたことから、有用遺伝子のナスへの導入が可能になる。また、ぺルオキシダーゼ遺伝子導入個体の一部では総ぺルオキシダーゼ活性が数倍高くなったことから、耐虫性個体の作出が期待できる。
図表1 210497-1.gif
図表2 210497-2.gif
カテゴリ 病害虫 害虫 なす 播種 品種 わさび

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