水田転換畑における地下水位の上昇に伴うホウレンソウ生育阻害の軽減化技術

タイトル 水田転換畑における地下水位の上昇に伴うホウレンソウ生育阻害の軽減化技術
担当機関 中国農業試験場
研究期間 1997~1997
研究担当者 井上昭司
岩波 壽
荒木陽一
山本二美(千葉暖地園試南総)
村上健二
発行年度 1997
要約 水田転換畑でのホウレンソウ栽培時の降雨とそれに伴う地下水位上昇の影響を軽減するには雨よけハウスが最も効果的で、次いで遮根シート>ポリマルチ>高畝の順である。これらを2つ組合わせる場合は雨よけ高畝が、3つの場合は雨よけマルチ高畝が効果的である。
背景・ねらい  米の生産調整に伴う転作野菜の作付面積が増加しているが、水田で栽培される野菜の生産が不安定で、概して品質が低いことが報告されている。特に、地下水位の上昇による生育阻害が問題になっている。そこで、水田での作付面積の増加が著しいホウレンソウを対象に、遮根シートを初めとする各種資材による最も効果的な生育阻害軽減技術を確立する。
成果の内容・特徴
  1. リード”の秋まき栽培(栽培期間9~10月)で、栽培中期の4日間の連続した降雨で地下水位が埋設した遮根シートの下5cmの位置まで上昇するという条件下で、ホウレンソウの葉長伸長、一株重増加は露地よりも雨よけで促進される。また、マルチによっても促進される。シートの効果は露地では大きいが、雨よけでは高畝の効果が大きい(表1)。
  2. 露地の平畝無マルチ栽培に対し、資材等を一つ利用する場合、高畝<マルチ<遮根シート<雨よけハウスの順に葉長伸長が促進される。二つの場合は雨よけハウスと高畝が、三つの場合は雨よけハウスとマルチならびに高畝の組合わせが葉長伸長、一株重増加促進効果が大きい(表1)。
  3. 雨よけハウスにより、糖ならびにアスコルビン酸含量は減少するが、硝酸含量は増加する。シュウ酸含量への影響は認められない(図1)。
  4. マルチにより、糖ならびにアスコルビン酸含量は減少する(図1)。
  5. 高畝あるいは遮根シートにより、糖含量は減少するが硝酸含量は増加する(図1)。

成果の活用面・留意点
  1. 転換畑を初めとする水田でのホウレンソウ栽培に活用できる。シュンギク栽培にも応用できる。
  2. 雨よけ栽培の場合には、かん水設備の設置が必要である。また、施肥窒素量が過剰にならないよう配慮する必要がある。
  3. 遮根シート(ポリエステル)は畝部分だけに埋設するが、耕耘作業等による破損に留意する。

図表1 210516-1.gif
図表2 210516-2.gif
カテゴリ しゅんぎく 水田 施肥 ほうれんそう

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