タイトル |
カーネーションの養液土耕による灌水・施肥の省力栽培技術 |
担当機関 |
兵庫県立淡路農業技術センター |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
宇田 明
山中正仁
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発行年度 |
1997 |
要約 |
設定した施肥灌水マニュアルに基づいて、点滴チューブで毎日少量の液肥を与える養液土耕をカーネーションで実施したところ、施肥灌水の自動化による省力化が図られ、慣行の置肥栽培に比べ、22~31%収量が増加した。
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背景・ねらい |
施肥および灌水の自動化はカーネーション栽培の省力化を進めるうえで、重要なポイントとなる。また、生育時期や日々変化する気象条件に応じた施肥灌水は、植物体にストレスを与えず収量の増加や品質の向上につながり、さらに土壌の過剰な塩類集積の防止にも役立つ。そこで、このねらいに応じた方法として養液土耕について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 80cm幅の栽培ベンチに、ノズルピッチ20cm、2.3ml/hr/ノズルの点滴チューブを2本設置し、アルミ蒸着フィルムを被覆する。日射量と淡路島施肥基準に基づき設定した6通りのマニュアルにより給液量と濃度を決定し、タイマーと電磁弁で自動制御する。慣行の反射マルチと無マルチは、40cm間隔に散水ノズルが付いた直径25mmのパイプ2本で灌水する。施肥は淡路施肥基準に基づき、反射マルチは液肥を週1回、無マルチは主に月1回有機配合肥料を施用する。
- 土壌溶液のEC値は多灌水・標肥、中灌水・少肥、多灌水・少肥とも1.0~2.5ms/cmの間で推移する(図1)。土壌のpF値は多灌水と中灌水では栽培期間を通じ1.3~1.4で推移するが、少灌水では4月以降急激に上昇し、5月はかなりの乾燥が認められる。
- 収量は、標肥、少肥に関わらず多灌水で多くなる。施肥量の違いによる収量の差は認められない。また、養液土耕での収量はいずれの施肥灌水においても慣行栽培を上回る。切り花品質は養液土耕と慣行栽培で大きな差は認められない(表1)。
- 以上の結果に基き、養液土耕のカーネーション用施肥灌水マニュアルを作成する(表2)。また、これにより養液土耕の総窒素施肥量は慣行施肥基準に比べ15%の減肥となる。
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成果の活用面・留意点 |
- 本技術は、アルミ蒸着フィルムなどの光反射マルチと併用する。
- 低いpFで栽培するため、土壌の粗孔隙率を高めるほうが有効である。
- 施肥灌水マニュアルを適切に活用するために、栽培前および栽培期間中の定期的な土壌水分および土壌養分の測定が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
カーネーション
乾燥
栽培技術
自動制御
省力化
施肥
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