水稲湛水散播直播栽培を導入した団地型地域営農の展開

タイトル 水稲湛水散播直播栽培を導入した団地型地域営農の展開
担当機関 広島県立農業技術センター
研究期間 1998~1998
研究担当者 諫山俊之
田中正邦
発行年度 1998
要約 自己完結型の従来型営農から、水稲湛水散播直播栽培を導入した団地型地域営農へ転換することにより、農地の流動化が円滑に進み、担い手農家は、1戸当たり労働時間が1,057時間で7,109千円の所得が確保できる。
背景・ねらい  地域ぐるみで団地化した農地を担い手に集積しようとしても、高齢者にとっては「生きがい」としての農業を奪うことになり、また、兼業農家にとっては、既有農機具が無駄になる等の問題が発生するため、これを一気に進めることは困難である。そこで、団地化した農地の流動化を円滑に進める方策として団地型地域営農を提示し、その展開過程を、圃場整備を実施した大和町福田地域の事例にもとづいてモデル的に明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 団地型地域営農(地域内の作業委託地を担い手ごとに団地化する営農形態)の展開過程は、委託内容の変化によって3つの段階に区分される(図1)。
  2. 発展段階が本モデルの導入期と安定期の中間にある事例調査にもとづいて、発展段階別に収益性等の変化を線形計画法によって分析した(表1)。
  3. 受委託導入期:委託農家に農機具が残存し、担い手農家がより性能の高い中型機械体系へ転換するため、地域全体では固定費が増加し、所得は低下する。しかし、1時間当たり所得は、労働時間が3作業の効率化と直播導入によって短縮するため、変化しない。
  4. 受委託安定期:委託農家に残存していた農機具の減価償却費がなくなるため、地域全体の固定費は導入期の62%(対従来型比86%)に削減され、農機具の効率的利用が実現する。これによって、高齢者の「生きがい」としての農業を残したまま、水稲作により512万円の所得を確保できる担い手を地域内で育成できる。
  5. 借地期:担い手農家は、これまで請け負っていた作業受託地を借地として耕作することにより、3作業以外の本田作業も効率的に行える。この効率化と直播栽培(総面積の50%)の導入により、地域全体での労働時間は安定期の80%に短縮する。これによって、担い手農家は、1戸当たり労働時間が1,057時間で7,109千円の所得が確保できる。

成果の活用面・留意点
  1. 圃場の団地化が可能な地域で、担い手育成を目的とする地域営農の参考となる。
  2. 今後、本モデルの前提⑤で仮定した作期前進に伴う技術確立が必要である。
図表1 210583-1.gif
図表2 210583-2.gif
カテゴリ 直播栽培 水稲

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる