農業集落カードによる遊休水田発生要因の解明

タイトル 農業集落カードによる遊休水田発生要因の解明
担当機関 奈良県農業試験場
研究期間 1997~1998
研究担当者 : 藤本高志
発行年度 1998
要約 遊休水田面積を被説明変数、生産要素要因を説明変数とする回帰モデルを推定し、回帰残差の大きい集落の作物別収穫面積の特化係数を計算する。そして、遊休水田の発生に影響を及ぼす生産要素要因および作物選択要因を明らかにする。
背景・ねらい  近年、遊休水田が年々増加している。遊休水田は土地資源の浪費であるばかりか、景観を阻害する。そこで、遊休水田の発生要因を明らかにし、適切な施策を立案することは重要な課題である。こうした研究のデータソースとして、農林業センサスがあるが十分に活用されてこなかった。しかし、1995年農業センサスから、集落カードのデータがCD-ROMで供給され、膨大なデータが容易に利用できるようになった。そこで、これを利用し、遊休水田の発生に影響を及ぼす生産要素要因と作物選択要因を明らかにする手法を提案した。
成果の内容・特徴  まず、遊休水田面積(A 1)を被説明変数、生産要素要因を説明変数とする回帰モデルを推定する。また、遊休水田面積は転作面積と稲作面積に依存するので、転作面積(A 2)あるいは稲作面積(A 3)を被説明変数とする回帰モデルも推定する。そして、生産要素要因が遊休水田の増減に及ぼす影響を、稲作面積の増減経由と転作面積の増減経由に分解して分析する。
 A 1 or A 2 or A 3 = f (F,L,C) F:土地ベクトル,L:担い手ベクトル,C:投下資本ベクトル
 さらに、転作モデルを用いて推定した各集落の転作面積率推定値(eA 2/Fp)と各集落の実際の転作面積率(A 2/Fp)との差が大きい集落の作物別収穫面積の特化係数を計算する。
 奈良県の全集落を対象とした結果は以下のとおりである(回帰分析結果は表1)。(1)生産調整政策が最大の発生要因である。(2)水田基盤整備は発生抑制要因だが、転作面積の減少に作用する。(3)山村地域では、稲作が難しく、遊休水田が発生しやすい。(4)土地用役市場や作業受託市場の発達が発生抑制要因となる。(5) 担い手の層によって、発生抑制に対する作用が異なる。60歳未満男子基幹従事者と女子基幹従事者は転作に貢献し、60歳以上男子基幹従事者と基幹従事者以外の男子従事者は稲作に貢献する。(6)経営規模拡大が発生抑制要因となる。(7)機械化や施設化が発生抑制要因となる。(8)転作面積が多く、遊休水田が少ない集落は、転作作物として、麦類、飼料作物類、花き・花木類を選択している。野菜類を選択する集落は遊休水田が多いが、サトイモ、ネギを選択する集落は遊休水田が少ない。
成果の活用面・留意点  妥当な回帰モデルの定式化が難しい。
図表1 210587-1.gif
カテゴリ 機械化 規模拡大 経営管理 さといも 飼料作物 水田 ねぎ

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