稲わらの秋鋤込みによる窒素流出負荷の軽減効果と微生物バイオマス窒素の評価

タイトル 稲わらの秋鋤込みによる窒素流出負荷の軽減効果と微生物バイオマス窒素の評価
担当機関 滋賀県農業試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 柴原藤善
小松茂雄
武久邦彦
発行年度 1998
要約 水田で稲わらを秋期に鋤込むと、土壌微生物バイオマスが増加し、非作付期の硝酸態窒素の流出負荷を軽減できる。一方、水稲作付期には、微生物バイオマスから窒素が放出され、施肥節減が可能で、生産安定と玄米窒素含量の適正化が図れる。
背景・ねらい   近年、環境への負荷軽減や農産物の高品質化の観点から、有機物を有効に利用して、土壌微生物の物質循環機能を活用する土壌・施肥管理技術に期待が寄せられている。
 そこで、稲わらの秋鋤込みが、水稲非作付期の硝酸態窒素の流出負荷軽減に及ぼすメカニズムを明らかにし、土壌微生物バイオマス(生菌体量)の持つ養分の貯蔵・供給の機能を評価する。また、稲わら連用田における水稲の生産安定と食味向上に寄与する窒素施肥法を確立し、水田における養分管理の適正化に資する。
成果の内容・特徴
  1. 秋から初冬の間に水田を耕起すると、非作付期間中に土壌有機物の分解と硝酸化成が促進され、降雨時に硝酸態窒素の浸透流出量が増加するが、稲わら施用(鋤込み)によって窒素流出負荷を軽減できる(図1-a)。
  2. 土壌微生物バイオマスは、稲わら施用によって増加し、土壌由来窒素の有機化を促進して硝酸化成量の低減に寄与する。そして、微生物バイオマスの増加量(作付け直前には1.9gN/㎡)は非作付期間中の窒素流出負荷軽減量に相当する。一方、水稲作付期には、微生物バイオマスがほぼ元の水準に低下し、貯蔵した窒素を放出する(図1-b)。
  3. 施用した稲わら窒素の初年目の水稲利用率は6%と低く、水稲の窒素吸収量も増加しないが、土壌残存率が70%と高く、土壌窒素肥沃度の維持・増強に寄与する(表1)。
  4. 稲わら連用田では、有機物無施用田に比べて、微生物バイオマスが明らかに高くなり、施肥節減が可能で、水稲の生産安定と玄米窒素含量の適正化が図れる(表2)。

成果の活用面・留意点
  1. 水稲非作付期の気候が温暖な半湿田および乾田地帯での早植栽培に適する。なお、圃場に散布された稲わらを焼いて鋤込むと、窒素流出負荷の軽減効果が低下する。
  2. 水田土壌中の微生物バイオマスは、有効態リン酸(トルオーグリン酸)と正の相関関係にあることが認められるので、グライ土では熔リン等との併用が望ましい。
図表1 210643-1.gif
図表2 210643-2.gif
図表3 210643-3.gif
カテゴリ 肥料 管理技術 水田 水稲 施肥 良食味

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる