湛水直播栽培における環境に配慮した土中施肥技術

タイトル 湛水直播栽培における環境に配慮した土中施肥技術
担当機関 滋賀県農業試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 山田善彦
中井 譲
藤井吉隆
鳥塚 智
小森信明
伊藤久司
発行年度 1998
要約 湛水直播栽培において、試作乗用土中施肥機により水稲の4~5葉期に、条間中央の深さ5~7㎝の土中に肥効調節型肥料を全量施肥することによって、通常の施肥量よりも窒素成分で20~25%の施肥節減ができる。
背景・ねらい  環境と調和した農業の推進に資するため、湛水直播栽培において、乗用管理機の汎用利用による試作乗用土中施肥機を用い、水稲の4~5葉期に全量施肥を行うことにより、施肥節減および省力化を図る。
成果の内容・特徴
  1. 乗用管理機(I社製JK11)に車速に連動した繰り出し装置を搭載した土中施肥機(5条)を取り付け(図1)、水稲の4~5葉期に肥効調節型肥料をヒタヒタ水程度の水位で条間中央の土中(深さ5~7㎝)に施肥全量を施用する。
  2. 初期の草丈、茎数の増加は基肥施用区に比べ緩慢で、葉色も薄く経過するものの、土中施肥後は基肥施用区と遜色のない生育を示す。
  3. 水稲の生育期間を通して基肥+穂肥の体系施肥に比べ、土中施肥は田面水への窒素の溶出が少なく、環境への負荷軽減効果が認められた(図2)。
  4. 土中施肥区は基肥施用区に比べ、総施肥量を20~25%節減でき、収量は基肥施用区とほぼ同等となる(表2)。
  5. 土中施肥に要する作業時間は10a当たり32.1分で、乗用管理機装着型の散布機による穂肥の表面散布作業時間4.4分に比べ7.3倍の時間を要する(表1)。

成果の活用面・留意点
  1. 施肥時期が遅れると穂数不足により減収するので、適期に施用するとともに、品種特性に対応した肥効調節型肥料の種類と施肥量を設定する。
  2. 施肥時にほ場の土壌が固くなりすぎると、管理機の車軸による土の巻き上げが多くなり、欠株につながることがある。
  3. 全量土中施肥技術は、肥料の使用量節減につながる技術であるが、他作業との組み合わせなどにより、作業能率の向上を図ることが必要である。
図表1 210699-1.gif
図表2 210699-2.gif
図表3 210699-3.gif
図表4 210699-4.gif
カテゴリ 肥料 直播栽培 省力化 水稲 施肥 品種

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