RAPD法を利用した滋賀県内水稲品種の品種識別

タイトル RAPD法を利用した滋賀県内水稲品種の品種識別
担当機関 滋賀県農業試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 森 真理
宮村弘明
渡辺健三
発行年度 1998
要約 滋賀県内の水稲栽培品種11品種1系統について、RAPD法を利用した品種判別が行えるプライマーを7種類選抜し再現性があり識別性の良い9個のDNAマーカーを得た。これらを用いれば水稲は11のパターンに分類され品種判別が出来る。
背景・ねらい  近年、農家や農協等で扱う水稲の品種数が増え、育苗等の段階で品種がわからなくなるなどの混乱が起きることがある。これまで、品種の判別は出穂期や外観等で経験的に判断されてきた。しかし、水稲の生育は環境条件による影響を受けることや苗の時点では差が出にくいことなどから、正確な判断が難しいのが現状であった。そこで生育環境や生育ステージ、組織の違いによる影響を受けないDNAを利用し、滋賀県内水稲栽培品種の正確で簡易な品種判別法を確立する。
成果の内容・特徴
  1. プライマーは、任意配列からなる10塩基合成プライマー100種類(OPERON 10 mer kit A,B,C,D,M)のうち、B1、B18、C4、C9、D3、M2、M11を選抜した。
  2. 水稲の葉からCTAB法によってDNAを抽出し、これを鋳型(約30ng)として以下の条件でPCR反応(遺伝子増幅装置;アステック社製、PC-700)を行う。
    反応条件;反応液はプライマー0.5μM、dNTP 0.2mM、MgCl2 2.5mM、全量25μlとし、DNA合成酵素はrTaq polymerase(TOYOBO社製)を1サンプルあたり0.625unit用いる。増幅は94℃4分後、94℃1分、36℃1分、72℃2分を1サイクルとして40サイクル行う。
  3. 供試した100種類のプライマーのうち7種類で再現性があり識別性の良い9個のDNAマーカーが得られた。これらの9個のDNAマーカーの有無に基づいてDNAタイピングを行ったところ、表1の通り11品種および1系統は11のパターンに分類され、「日本晴」と「ゆめおうみ」の判別を除くすべての品種の判別が可能である。また、コシヒカリの近縁品種間の判別も可能である。

成果の活用面・留意点
  1. 試料は、葉だけでなく他の部位(玄米等)でも可能である。
  2. 本方法は、微量(約0.1g程度)の試料から短期間(約2日)で結果が得られる迅速簡便な方法であり普及現場で利用可能な技術である。
    図1 
図表1 210703-1.gif
図表2 210703-2.gif
カテゴリ 育苗 水稲 DNAマーカー 品種

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