タイトル |
イチゴ新品種‘兵庫苺2号’(出願名称‘夢甘香’)の育成 |
担当機関 |
兵庫県立中央農業技術センター |
研究期間 |
1988~1996 |
研究担当者 |
小林 保
桐村義孝
山元義久
小林尚武
大西忠男
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発行年度 |
1998 |
要約 |
‘宝交早生’,‘麗紅’,‘明宝’のイチゴ3元交配選抜系統‘58-9’に,‘アイベリー’を交配して‘兵庫苺2号’を育成した。本品種は多収性で,日持ち性に優れ,食味や芳香がよく,休眠が浅く,草姿は立性で,促成栽培に適する。
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背景・ねらい |
1977年に兵庫県で育成した‘明宝’は,食味が優れるが,果皮が軟らかく,日持ちが悪い欠点があった。そこで,現在主流品種となっている‘とよのか’並みの日持ち性を有し,食味が優れ,収量性の高い品種の育成を目標とした。
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成果の内容・特徴 |
- 1988年,‘宝交早生’,‘麗紅’,‘明宝’の3元交配選抜系統 ‘58-9’に‘アイベリー’を交配した。翌年、得られた実生個体の中から22個体を選抜した。1989年~1993年に促成栽培で系統選抜を実施し,1993年に当初の目標に達した系統‘63-76-11’(‘ 兵庫苺2号’)を選抜した。1993~1997年に特性検定,生産力検定並びに現地適応性検定を行い,食味や芳香がよく,多収性で,日持ち性が高いことが認められたので,1998年5月に種苗登録を申請した。
- 休眠が浅く,電照反応は強く、促成栽培に適する。草姿は立性で,‘とよのか ’,‘明宝’より葉柄が長く,葉はやや細い(表1)。ランナーの発生はやや遅い。花芽分化は‘とよのか’より遅く,普通ポット育苗で,9月下旬頃である(表2)。促成栽培での開花始期は11月上旬で,収穫始期は12月上旬である。
- 果形は球円錐形で,平均果重は‘とよのか’より軽く,‘女峰’より重い。果皮色は明赤で,春期には鮮赤となり,果肉色は橙赤である。春期の果皮は硬く,光沢がよい。
- 食味や芳香が優れ,糖度が‘とよのか’と同程度に高く,酸度は‘とよのか’よりやや低く,‘宝交早生’よりやや高い(表3)。
- 促成栽培での収量性は‘とよのか’より年内収量はやや低いが,総収量は‘とよのか’,‘明宝’より高い(表4)。
- うどんこ病に対する抵抗性は中程度で,‘とよのか’より強い。
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成果の活用面・留意点 |
- ランナーの発生が遅いので,親株を年内に定植するか,早期に大苗を養成して2月下旬に定植する。
- 夏期高温時に萎黄病や炭そ病に罹病しやすいため,無病の隔離床育苗や空中育苗が望ましい。
- 糖度の安定と成り疲れ防止のため,小果の摘果を徹底する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
萎黄病
育苗
いちご
うどんこ病
栽培技術
新品種
多収性
抵抗性
品種
良食味
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