タイトル |
イチゴ‘アスカルビー’における果実の成熟と品質との関係 |
担当機関 |
奈良県農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
東井君枝
信岡 尚
平山喜彦
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発行年度 |
1998 |
要約 |
‘アスカルビー’の果実は、成熟日数が比較的長いが、着色の速度が速く、これにともない果実硬度が低下しやすい。不完全着色果の収穫後の着色は良好である。高温期の収穫では8分着色果を追熟させると糖度・酸度・果実硬度など品質の低下が少ない。
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背景・ねらい |
イチゴの果実は肥大期の環境、とりわけ温度によって成熟に要する日数や着色の速度、成熟果の内容成分が異なる。‘アスカルビー’は着色速度が速いため、高温期には特に収穫の時期や収穫後の環境が適切でないと果皮の軟化や食味の低下を生じやすい。そこで、‘アスカルビー’の果実の品質と着色との関係を明らかにし、高温期の品質安定を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 成熟期を着色で判定した場合、成熟日数は収穫初期を除いて‘章姫’、‘アスカルビー’で長く、‘とよのか’で短かい。また、果実の成熟には、他品種に比べやや高い温度が必要である(表1)。
- 催色始めから成熟までの日数は、‘アスカルビー’は他の品種に比べてやや短い。果実の着色にともない、いずれの品種も果実硬度および果皮の硬さは低下し、糖酸比は上昇する。この変化は、8分着色以降大きい。‘アスカルビー’は果実硬度の低下が他の2品種に比べると大きいが、果皮は硬い(図1)。
- 収穫期の遮光は、果実硬度の増大に効果がなく、糖度の低下と酸度の上昇を招き(表2),果実の色沢を損なう。
- ‘アスカルビー’の果実硬度は収穫後の予冷により増大するが、不完全着色果では効果はない(表3)。
- 不完全着色果実は、収穫後、暗黒条件下では温度が高いほど、同一温度条件下では光があるほど着色が進む(表4)。このような収穫後の着色の進行は‘とよのか’に比べ ‘アスカルビー’で大きい。
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成果の活用面・留意点 |
- ‘アスカルビー’は‘とよのか’に比べて、成熟日数が長く、成熟に要する温度もやや高いので、簡易暖房などを活用して低温期にやや高めの温度管理を行う。
- ‘アスカルビー’は着色の速度が速く、これにともなう果実硬度の低下が大きいので、高温期は収穫の間隔を短くし、過熟果の発生を防ぐ。
- 高温期の強い遮光は、果実品質を著しく低下させるので避ける。
- 収穫は適熟果について行い、予冷によって果実硬度の低下を防ぐ。高温期、予冷施設を持たない場合は8分程度の着色果を収穫し、流通過程で着色させれば品質低下は少ない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
いちご
温度管理
品種
良食味
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