タイトル |
軟弱野菜の移植栽培における紙マルチ利用 |
担当機関 |
中国農業試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
熊倉裕史
岡崎紘一郎
土屋史紀
尾島一史
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発行年度 |
1998 |
要約 |
紙マルチは軟弱野菜の移植栽培に有効に導入できる。その利点は高温ストレスを回避して生育・品質を向上させること、片づけ作業が不要なこと、廃プラスチックを出さないことである。
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背景・ねらい |
省力化と環境保全に留意した高付加価値野菜生産の体系化が望まれている。紙マルチは片づけ作業が不要で廃プラスチックを出さないのでこの要素として有力で、利用場面の拡大が図られている。軟弱野菜に利用する場合は移植栽培する作物に有効と考えられる。シュンギクとリーフレタスを対象とし、適用性を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 紙マルチは畝上の抑草効果は充分であり、黒や透明ポリマルチに比べ1~3℃地温上昇を抑える。収穫後には耕耘により容易に土中にすき込める。作物との関係ではポリマルチより均一なかん水効果が期待でき、移植した苗が高温時にしおれてマルチ面に接触しても葉焼けを生じない利点がある。
- シュンギクの場合、紙マルチ区での生育は良好であり、生理障害(チップバーン)の発生が少なく形状も優れる。地温上昇を抑える効果が収穫始期の遅れにつながることはなく、初期収量もポリマルチと同等以上である(図1,2)。出荷パック数(収量)は白色・厚手の紙マルチ区において最も多く、この要因としては抜き取り苗を定植した直後の活着が向上すること、および高地温ストレス・水ストレスの回避効果が主に考えられた。
- 秋期のリーフレタス2連作において、1、2作目とも商品性の高い収穫物が得られる。紙マルチは既存の地温抑制型ポリマルチ(白黒ダブルマルチ)にほぼ匹敵する有用性を示し、2作目終了時にも畝表面は損傷無く保持され、作業性と収量性は良好である(表1)。作型によってはこのように紙マルチを2作にわたって用い資材費を節減できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 紙マルチのうち、白色で厚手のタイプにおいて地温抑制と生産物の形状が比較的優れるが、逆に運搬・作業性では薄手の資材が望ましい。資材により地際の破れやすさに差異があるが、雨よけハウス栽培では風は弱く実用上の問題はない。展張には従来のマルチャーが利用できる。
- 定植が高温期となる作型でとくに有効であり,慣行のポリマルチに代替して片づけ作業の省力および廃プラ問題への有効な対策のひとつとなることが期待される。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
高付加価値
栽培技術
出荷調整
しゅんぎく
省力化
生理障害
リーフレタス
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