卵黄膜への精子侵入痕数を指標とした雄あひるの繁殖能力の評価

タイトル 卵黄膜への精子侵入痕数を指標とした雄あひるの繁殖能力の評価
担当機関 大阪府立農林技術センター
研究期間 1999~2000
研究担当者 笠井浩司
出雲章久
毛利集造
発行年度 1999
要約 体外培養において、あひる精子が卵黄膜に侵入する際に生じる孔の数(精子侵入痕数)は雄個体間で大きく異なる。この精子侵入痕数は、人工授精による受精率 と高い相関を示し、雄個体ごとの繁殖能力の評価指標として応用可能と考えられる。
背景・ねらい  あひるの繁殖効率は鶏に比べ低いため、雄の選抜には繁殖能力の評価が重要である。しかし、雄の繁殖能力を評価するには、多数の雌と交配せねばならず、多大な労力、時間と飼養羽数を要する。また、精液品質の簡易な目安として広く使われている精子運動性は、必ずしも雄個体ごとの繁殖能力の差を表さない。そこで、あひる精子の受精能を省力的かつ正確に判定する新手法として、体外培養において、精子が卵黄膜に侵入する際にできる孔(図1)の数(精子侵入痕数)を評価指標に用いることを検討する。
成果の内容・特徴
  1. 6羽の雄から個体別に採取した精子を放卵後のあひる卵から分離した卵黄膜内層の小片と共培養し、卵黄膜上の精子侵入痕数を数えた。
  2. 平行して、同一精子サンプルの運動性を測定するとともに、雌への人工授精により受精率を調べた。
  3. 卵黄膜への精子侵入痕数は、雄個体間における差が極めて大きい(図2)。
  4. 精子運動性は、雄個体間の差が小さい(図3)。
  5. 精子侵入痕数の対数値と人工授精による受精率との間には、高い正の相関が認められる(図4)。
  6. 以上の結果から、体外培養における卵黄膜への侵入痕数を指標とすることで、従来の運動性の比較では困難であった雄個体ごとの精子の受精能の比較が正確に行える可能性が示され、雄の繁殖能力の判定を省力化できるものと考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 本手法は、雄の選抜における繁殖能力の比較に有用である。交配による雄の受精能判定には最低2週間が必要であるが、本手法では実験室内での約2時間程度の操作で判定が可能である。
  2. 同一卵から多数の卵黄膜内層小片を採取できるので、これを用いることで雌の能力差の影響を排除し、精子の受精能のみを比較することができる。また、本手法は、精液の保存条件の比較検討などにも応用可能と考えられる。

図表1 210778-1.jpg
図表2 210778-2.jpg
図表3 210778-3.jpg
図表4 210778-4.jpg
カテゴリ アヒル 省力化 繁殖性改善

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