タイトル |
中山間地域におけるホウレンソウ連作障害回避型産地への再編方策 |
担当機関 |
第3チーム |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
尾島一史
藤森英樹
田中和夫
土屋史紀
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発行年度 |
1999 |
要約 |
ホウレンソウ産地の連作障害回避型産地への再編方策を、農家の類型化を行い、類型ごとに有効な連作障害対策と展開方向を明確にするとともに、産地再編による農家の農業所得と産地出荷量への影響について推計・検討することで示す。
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背景・ねらい |
中山間地域においても、ホウレンソウの栽培年数の経過にともなって、連作障害が深刻化し、連作障害を回避するための産地再編が求められている産地が少なくない。そこで、連作障害が出やすい夏期を中心に、個別農家の農業所得と産地全体の出荷量の維持を同時に配慮しながら、連作障害回避型産地へ再編する方策をその策定手順とともに示す。
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成果の内容・特徴 |
連作障害回避型産地への再編方策の策定は、1)産地内の実態把握と農家の類型化、2)農家類型ごとの連作障害対策の検討、3)産地内再編方向の検討、4)産地再編による農業所得と産地出荷量への影響の試算と試算結果の検討、の順で行う。以下この手順で策定した中山間地域の周年出荷型ホウレンソウ産地のA産地(標高80~300m)の例を示す。
- 夏期のホウレンソウ収量に影響を及ぼす指標を抽出し、農家を類型区分する。A産地では、栽培地の標高と連作年数を指標として、農家57戸を4類型に区分した(図1)。
- 栽培実態調査や現地栽培試験により類型別に有効な連作障害対策を明確にする(図2)。
- 産地の持続的発展のために農家類型ごとに生産対応を検討する。A産地の夏期の生産対応は、低標高・5年以上類型は輪作導入により生産縮小し、一方、4年以下の2類型は産地の出荷量維持のため連作障害対策とハウス新設により増産を図るとした(図2)。
- 産地再編による農業所得と産地出荷量への影響について推計・検討する。A産地では、まず所得、出荷量ともに減少が見込まれる低標高・5年以上類型を対象に、輪作作物を導入する場合とさらに所得維持のため簡易ハウスを導入する場合について線形計画モデルによるシミュレーション分析を行った(表1)。次にこの試算を基に低標高・5年以上類型で減少する出荷量を推計し、これを補い産地全体の出荷量を維持するため4年以下の2類型に求められる増産対応について、連作障害対策による増収率とハウス新設面積の代替関係から検討した。低標高・5年以上類型の全農家が夏期にハウス面積の3分の1に輪作作物を導入し、うち2割の農家がさらに簡易ハウスを導入した場合は、増収率を20%と想定すると、13aのハウス新設が必要になる(点α)と試算された(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
農家への生産縮小、拡大、新規参入の働きかけや合意形成を行う際に基礎資料を提示できる。類型化の具体的指標、連作障害対策等は地域の実状に即して設定する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
簡易ハウス
出荷調整
中山間地域
ほうれんそう
輪作
連作障害
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