タイトル |
ホウレンソウの品質と価格をめぐる生産者と消費者とのギャップ |
担当機関 |
中国農業試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
藤森英樹
尾島一史
網藤芳男
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発行年度 |
1999 |
要約 |
ホウレンソウの品質や価格について、生産者と消費者とのギャップを事例的に把握した。無農薬のホウレンソウについては、消費者は通常価格の2割高で購入してもよいとしているが、生産者はさらに高い価格を希望している。高付加価値のホウレンソウに対して生産者は消費者よりも高い価格を期待する傾向がある。
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背景・ねらい |
中山間地域の比較的小規模な産地では、付加価値の高い農産物の有利販売が求められている。生産地の戦略的な生産・販売計画に資することを目的として、消費者ニーズと生産者が考える消費者ニーズとのギャップに着目し、ホウレンソウを対象品目として、周年供給産地である京都府A町とその出荷・消費先を事例対象地域として質問紙調査を実施する。
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成果の内容・特徴 |
- 平成11年10月に京都府の3市で消費者ニーズ調査、11月にA町で生産者の調査を実施。
特に、生産者には出荷先の消費者の立場にたって回答することを求めた。 調査票は消費者437票、生産者58票を配布。それぞれ313票、35票を回収。
- ホウレンソウの形状に対する好みでは、根のつき方、包装の仕方、全体の大きさ、根元の状態等で消費者と生産者との間に顕著なギャップがみられる(図1)。
A町では根を切ってフィルム包装する出荷形態。この点は出荷先の消費者の好みと乖離。
- 高付加価値のホウレンソウに対する消費者のニーズについてみると、減農薬、無農薬、薬剤土壌消毒のないもの、有機栽培、安全性の高いもの、が上位を占める(図2)。
生産者は消費者のニーズを過小に考え、この傾向は大型在来品種・水耕栽培で顕著。
- 購入希望価格でみると、生産者は消費者よりも高価格を期待する傾向(図3-a)。
消費者は無農薬のホウレンソウを通常価格の2割高い160円で購入してもよいと回答。生産者はさらに10円高い170円での購入を消費者に期待。 無農薬の栽培に対する知識、理解の違いが両者の価格に反映されたと考えられる。
- 消費者間の比較では、購入を強く希望する人ほど購入希望価格は高い(図3-b)。
大型在来品種と水耕栽培では価格のギャップが大きく、一部の消費者は無農薬等と同程度の高価格で購入を希望している点が注目される。
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成果の活用面・留意点 |
- ホウレンソウの荷姿等に関連する部分では卸売市場の意向を反映している面があると考えられるが、本調査ではこの点に立ち入った検討は行っていない。
- 消費者は購入希望価格を実際の購入価格よりも高めに回答していると考えられる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
有機栽培
病害虫
高付加価値
出荷調整
消費者ニーズ調査
水耕栽培
中山間地域
土壌消毒
農薬
品種
ほうれんそう
薬剤
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