タイトル |
イタリアンライグラス-イヌビエ通年乾草生産技術の評価と導入のための収量目標 |
担当機関 |
中国農業試験場 |
研究期間 |
1998~2002 |
研究担当者 |
千田雅之
佐藤節郎
小山信明
谷本保幸
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発行年度 |
1999 |
要約 |
イタリアンライグラス-イヌビエ栽培による通年乾草生産は低投入の技術であるが、生産費を市販乾草価格なみに抑えるには、通年栽培面積を20aとして、現行の要素投入量の下で10a当たり1,310kg以上の乾物収量を確保する栽培技術が必要である。
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背景・ねらい |
中国中山間地域では、農用地資源の保全を図るため粗放的飼料生産が期待される。また、高齢者による肉用牛経営が多いため低投入の飼料生産技術が求められる。そこで、イヌビエの自然下種再生産に着目したイタリアンライグラス-イヌビエ栽培による通年乾草生産技術について、イタリアン乾草-ソルガムサイレージ生産技術と生産要素の投入量や労働生産性等の比較を行い、市販乾草価格なみの生産費実現のための収量目標を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 通年乾草生産技術の10a当たりの総作業時間及び資材の投入量・経費は、乾草-サイレージ生産技術に比べて低い(表1)。他方、現行の10a当たり乾物生産量は、乾草-サイレージ生産技術の2,416kgに対して、1,160kgと低い(表2)。このことから、通年乾草生産技術は、低収量であるが低投入の飼料生産技術であるので、耕作放棄地等遊休地を広く活用し、農地機能を保全する方法として期待がかけられる。
- 調査農家における通年乾草生産技術による乾物100kgの生産に要する労働時間は4.8時間で、乾草-サイレージ生産技術に比べて約2時間短く、野乾草収穫の2分の1以下である。また、通年乾草生産技術による乾物1kg当たりの生産費用(通年18aの生産、10a当たり収穫量1,160kgの場合)は70円で、乾草-サイレージ生産技術より28円低いが、市販乾草(チモシー)価格に比べると高い(表2)。
- 現行の通年乾草生産技術の要素投入量をもとに、その生産費を市販の乾草価格以下に抑えるための収量水準を試算すると、現行の要素投入量の下では10a当たり1,310kg以上、堆肥投入を行わない場合は10a当たり1,170kg以上、化成肥料を現行の3倍投入する場合は10a当たり1,440kg以上の乾物収量を確保する栽培技術が必要である(図1)。但し、通年栽培面積を天候等の制約から20aとし、小型機械導入費は2分の1助成とする。
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成果の活用面・留意点 |
- イタリアンライグラス-イヌビエ栽培による通年乾草生産技術開発の指針に資する。
- 中国中山間地域の肉用牛繁殖経営を対象とした自給飼料生産であることに留意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
イタリアンライグラス
経営管理
栽培技術
ソルガム
中山間地域
肉牛
繁殖性改善
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