タイトル |
水田転換園における大津4号成木の半樹別交互結実による高品質果実連年生産技術 |
担当機関 |
山口県農業試験場大島柑きつ試験場 |
研究期間 |
1995~1999 |
研究担当者 |
宮田明義
棟居信一
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発行年度 |
1999 |
要約 |
水田転換園における大津4号成木の連年生産には、樹冠を2分割して毎年交互に結実させる半樹別交互結実が有効である。この方法にシートマルチ被覆を組合わせることにより、高品質化と連年結果性は更に高まる。
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背景・ねらい |
高糖系ウンシュウミカンは成木に達しても隔年結果性が強く、しかも果実が大きくなりやすいため品種更新の利点が発揮されておらず、経営的に不安定な事例が多い。そこで、結実方法の改善とシートマルチとの組合わせによって、高品質果実の連年生産技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 半樹別結実とシートマルチとの組み合わせによって、商品性の高いML級果実の比率は慣行栽培に比べて増加する。結実方法を半樹別に改善することにより約1度の増糖効果が得られ、シートマルチによって糖度は更に高まる。半樹別交互結実は連年結果性を高め、シートマルチはその効果を助長する。果実収量の減少も認められない(表1)。
- 水田転換園においては、シートマルチの被覆時期を傾斜地園の一般的な被覆時期8月中旬より30~40日早い7月中旬とすることにより、高い増糖効果が得られる。減酸の遅延は認められない(表2)。
- シートマルチの被覆によって、樹冠下部及び内部の日照量は無被覆の3~4倍となる。また、盛夏期における地温上昇抑制効果は10℃程度あり、過剰な温湿度の変化も軽減される。シートマルチによる表層細根の増加は、これらの効果が原因と考えられる(データ省略)。なお、これら環境条件の改善と細根増加も、隔年結果性減少の一要因と考えられる。
- 半樹別結実における省力摘果方法としてエチクロゼートを利用することにより、初年度の摘果時間は人力摘果に比べて約1/2に、2年目は約1/3に短縮される(表3)。これに加えて結実部分の摘果量も大幅に少ないため、結実管理が省力化できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 水田転換園など、有効土層の深い園地における確実な高品質化及び連年結果技術として活用できる。
- 作業性及び収量性の面から、15年生程度までの若木には樹別交互結実が、それ以上の樹齢では半樹別交互結実が適している。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
温州みかん
経営管理
傾斜地
収量向上
省力化
水田転換園
品種
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