交信攪乱剤を用いたナシ農薬削減防除技術

タイトル 交信攪乱剤を用いたナシ農薬削減防除技術
担当機関 鳥取県園芸試験場
研究期間 1999~1999
研究担当者 伊澤宏毅
渡辺博幸
発行年度 1999
要約 ナシ園において交信攪乱剤を用いることによってハマキムシ類やシンクイムシ類に対する防除回数が削減できる。さらに、副次効果として、ハダニ類やアブラムシ類の天敵が増加し、両害虫の発生量が抑制されることから、従来に比べて大幅な殺虫剤の削減が可能となる。
背景・ねらい  農作物の安全性に対する消費者の意識が高まっており、特に農薬の使用回数を削減した栽培法が求められている。そこで、ハマキムシ類及びシンクイムシ類を防除対象とした交信攪乱剤テトラデセニルアセタート・ピーチフルア・ピリマルア剤を用い、ナシ園における低農薬防除技術を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 本交信攪乱剤の処理によって、殺虫剤の使用成分回数を80%削減(処理Ⅰ)および65%削減(処理Ⅱ)しても、ハマキムシ類及びシンクイムシ類の果実被害は、対照並に軽微であり、本剤は両種に対して高い防除効果を示す(図1)。
  2. 本剤の処理によって殺虫剤を50%以上削減したナシ園では、ハダニの捕食性天敵ハダニアザミウマ、アブラムシの捕食性天敵であるテントウムシ類やクサカゲロウ類が保護され、ハダニ類やアブラムシ類の発生量が抑制される(図2)。結果的に殺ダニ剤やアブラムシ剤の使用回数がそれぞれ年間に1~2回程度削減できる。
  3. フェロモン成分の残効期間はナシヒメシンクイ120日、モモシンクイガ180日以上、ハマキムシ類150日である。
  4. 殺虫剤削減区では、夏期~秋期にかけて新梢にマイナー害虫が一部発生し、やや問題となる場合がある。果実に対する被害程度は軽微であり、実用上問題となるレベルではない。
  5. 殺虫剤を半減し、交信攪乱剤を10a当たり150本設置した場合の薬剤費は慣行区とほぼ同程度であり、コスト面でも実用的である。
成果の活用面・留意点
  1. 本剤の処理時期は対象害虫発生前の4月下旬とする。なお、秋期にはこれらを取り外す。
  2. 本剤の処理位置はナシの棚面とし、あわせて周囲の防風樹にも設置する。
  3. 本剤の処理によって殺虫剤の回数を削減すると、イラガ類やミノガ類などのマイナー害虫が発生しやすいので、ナシ園を定期的に観察する。
  4. ナシ園の集団栽培地で利用し、処理規模面積は、最低50a以上とする。

図表1 210844-1.jpg
図表2 210844-2.jpg
カテゴリ 病害虫 害虫 コスト 農薬 フェロモン 防除 もも 薬剤

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