タイトル |
ズッキーニ黄斑モザイクウイルス弱毒株の製剤化 |
担当機関 |
京都府農業資源研究センター |
研究期間 |
1998~1999 |
研究担当者 |
小坂能尚
中薗栄子
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発行年度 |
1999 |
要約 |
ズッキーニ黄斑モザイクウイルス弱毒株が感染したカボチャ葉から、ショ糖、ポリペプトン及びリジンを含むリン酸緩衝液を加えて磨砕液を調製する。これを凍結乾燥して製剤とする。そのウイルス活性は、冷蔵庫内保存で安定して維持される。
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背景・ねらい |
露地夏秋キュウリでは、ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV)の感染による奇形果実と萎凋症の被害が大きい。そこで、弱毒ウイルスの予防接種技術を開発したが、接種苗を迅速に生産現場へ普及、定着させるため、弱毒ZYMVを製剤化する。
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成果の内容・特徴 |
- ZYMV弱毒株ZY95に感染したカボチャ葉を2.5倍量の0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0、0.01M EDTA及び0.1%メルカプトエタノールを含む)で磨砕する。その搾汁液または高速遠心後の上清と安定剤(ショ糖5%、ポリペプトン1%及びリジン5%)を溶解した緩衝液とを等量に混合し、50または100mlバイアル瓶に10ml 分注する。これを凍結乾燥処理し、製剤とする。使用する時は水40ml とカーボランダム1.2gを加える(図1)。
- 製剤の感染価は元の感染葉磨砕液と比較するとやや低下するが、そのウイルス活性は1年間冷蔵庫内(4℃)保存で安定して維持される(図2)。
- キュウリにおける強毒ZYMVに対する干渉効果では、製剤と元の感染葉磨砕液との間には差が認められない(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 1997年と1998年に、全国の7カ所において実施したZY95製剤の生物農薬連絡試験(日本植物防疫協会による委託試験)では、いずれでも「実用性あり」と判定されている。
- この製剤化技術は、他の弱毒ウイルスにも広く適用できるものであり、民間企業との共同で特許権を取得している。
- ZY95製剤を生物農薬として登録するためには、安全性試験や環境生物に対する影響試験などを実施し、ガイドラインの基準を満たす必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
かぼちゃ
乾燥
きゅうり
ズッキーニ
農薬
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