キク挿し芽上のナミハダニ寄生部位と挿し芽浸漬による防除

タイトル キク挿し芽上のナミハダニ寄生部位と挿し芽浸漬による防除
担当機関 奈良県農業試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 国本佳範
福井俊男
林美小夜
発行年度 1999
要約 キク挿し芽上のナミハダニ黄緑型は、雌成虫は展開葉すべてに、卵は4葉位以下、幼若虫は5葉位以下に多く寄生する。ハダニが寄生した挿し芽をミルベメクチンやエトキサゾールに浸漬すると、定植1か月後までナミハダニは発生しない。
背景・ねらい  9月~10月咲きの秋キク栽培では、挿し芽による栄養繁殖を行う。この際、ナミハダニが寄生した親株から挿し芽を採り、使用することが次作でのナミハダニ発生の原因となる場合が多い。そこで、挿し芽上でのナミハダニのステージ別の寄生部位を調査し、挿し芽上のナミハダニのステージを考慮して選んだ効果の高い殺ダニ剤に挿し芽を浸漬処理して、確実に挿し芽上のナミハダニを防除し、本圃への持ち込みをなくす方法を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 挿し芽時の浸漬は、確実にキク上でのハダニの生活環を遮断でき、結果的に生育期間中の殺ダニ剤散布回数を大幅に削減できる。
  2. 精興黄金、ミス葛城の2品種において、挿し芽直前の親株から採取したシュート上のナミハダニ黄緑型の寄生部位は、雌成虫は展開葉のすべてに、卵は4葉位以下に、幼若虫は5葉位以下に多い(図1)。
  3. ハダニが寄生した挿し芽をミルベメクチン乳剤1000倍液やエトキサゾール水和剤2000倍液に3分間浸漬してから挿す処理を行うと、定植後、約1か月間ハダニの発生を抑制する(図2)。
  4. 松本城、広島の月の2品種では、これら2剤への浸漬による挿し芽の生育への影響はない(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 栽培現場で挿し芽調整時に展開4葉程度まで取り除いており、挿し芽上には卵と雌成虫が残ることを考慮してエトキサゾール水和剤が用いられている。より安定した効果を得るためには、挿し芽に残す展開葉数を少なくすることが望ましい。
  2. あらかじめ感受性検定を実施し、感受性の低下がないことを確認しておく。わずかでも感受性低下が認められる場合には、直ちにその薬剤での浸漬処理は取りやめる。
  3. キクは品種が多いため、薬害については詳細な検討が必要である。
  4. 使用した殺ダニ剤および浸漬処理方法そのものはキクで農薬登録されてから利用する。

図表1 210862-1.jpg
図表2 210862-2.jpg
図表3 210862-3.jpg
カテゴリ 病害虫 きく 栽培技術 農薬 繁殖性改善 品種 防除 薬剤

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる