発光遺伝子で形質転換したイネ内穎褐変病菌のイネ体における増殖

タイトル 発光遺伝子で形質転換したイネ内穎褐変病菌のイネ体における増殖
担当機関 鳥取県農業試験場
研究期間 1999~2000
研究担当者 長谷川優
発行年度 1999
要約 発光遺伝子で形質転換したイネ内穎褐変病菌は、枯死組織、開花後の葯および発病初期の柱頭で特異的に増殖する。とくに柱頭における菌の増殖が発病に大きく関与している。
背景・ねらい  イネ内穎褐変病は玄米の品質低下を引き起こす細菌性病害であるが、発生の年次変動が大きいことから、効率的な防除を行うためには発生予察法の確立が必要である。しかし、本病の発生生態には不明な点が多く、その解明が待たれている。そこで、発光遺伝子で形質転換したイネ内穎褐変病菌を作出し、イネ体における本菌の挙動を二次元ルミノメーターで観察することにより、菌の増殖部位を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. Vibrio属細菌の発光遺伝子で形質転換したイネ内穎褐変病菌(TBS9)は、増殖期後半に強く発光することから、発光部位は菌の増殖部位を示すと考えられる(図1)。
  2. 穂ばらみ期のイネにTBS9の菌液を噴霧接種して24時間後に発光観察すると、緑色健全組織ではほとんど発光はみられないが、葉先、下位葉鞘、下位葉身等の枯死組織では強い発光がみられる(図2)。
  3. 出穂前日のイネにTBS9の菌液を噴霧接種して発光観察すると、開花24時間後の葯で強い発光がみられる(図3)。さらに、発病初期(開花後2~3日)のほとんどの籾では、柱頭部分で強い発光がみられるとともに柱頭の褐変も観察される(表1、図4)。
  4. 開花前の穎内の葯に付傷処理を行い、TBS9の菌液を籾内に注入すると、付傷処理を行った葯では発光がみられるが、付傷処理を行っていない葯およびその他の籾内部組織では発光はみられないことから、本菌は開花前の葯には感染できないと考えられる。
  5. 以上のことから、イネ内穎褐変病菌は、枯死組織、開花後の葯および発病初期の柱頭で特異的に増殖し、とくに柱頭における菌の増殖が発病に大きく関与していると考えられる。
成果の活用面・留意点
     発光遺伝子で形質転換したイネ内穎褐変病菌は、本病の発生生態の解明に利用できる。

図表1 210865-1.jpg
図表2 210865-2.jpg
図表3 210865-3.jpg
図表4 210865-4.jpg
図表5 210865-5.jpg
カテゴリ 病害虫 防除

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