タイトル |
割り接ぎ用穂木形成器具のきゅうりへの適応性 |
担当機関 |
大阪府立農林技術センター |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
高浦裕司
森川信也
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発行年度 |
1999 |
要約 |
穂木形成器具によるきゅうりの接ぎ木において、割り接ぎは慣行の呼び接ぎの約2倍の作業能率が得られる。また、割り接ぎ苗は夏期の高温時においてもほぼ100%が活着し、慣行の呼び接ぎ苗と同等の生育・収量が得られる。
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背景・ねらい |
なす科用に開発した割り接ぎ用穂木形成器具の汎用性を高めるため、きゅうりでの割り接ぎの作業性、接ぎ木苗の収量性を調査し、割り接ぎ用穂木形成器具のきゅうりへの適応性について明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 割り接ぎ用穂木形成器具を利用したきゅうりの割り接ぎは、穂木を差し込む台木の切り込み方法が異なっても、活着率に大きな差はない(図1、表1)。
- 割り接ぎの1株当たりの作業時間は40.4~47.3秒で、呼び接ぎ(90.5秒/株)の約2倍の作業能率が得られる(表1)。
- 割り接ぎ苗は、穂木を断根するため萎れやすいが、夏期の高温下でも呼び接ぎ苗と同等の96%以上の高い活着率が得られる(表1)。
- 穂木の不定根は表皮から発生することが多く、台木髄腔内に穂木の表皮を挿入する割り接ぎ(半)では、台木髄腔内への穂木の発根率は57~75%と他の接ぎ木方法に比べ高くなる。しかし、髄腔は根元で閉塞するため、髄腔内に発生した根は髄腔外には出ない(表2)。
- 割り接ぎ苗の定植後の管理作業は慣行に準じ、生育・収量は呼び接ぎ苗と同等である(表2)。
- 3種類の接ぎ木方法を比較すると、作業能率、活着率、生育・収量いずれも大差はないが、台木への切り込み方法が慣行の呼び接ぎと類似している点、クリップ掛けのしやすさや切除しきれなかった生長点の再切除のしやすさ等を勘案すると、割り接ぎ用穂木形成器具を使用する場合の台木の切り込み方法は割り接ぎ(斜)が適している。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果は所内試験の結果である。
- 割り接ぎは穂木の根部を切断するため、養生時には萎れを防ぐためのビニルトンネル等の設備が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
きゅうり
くり
栽培技術
台木
接ぎ木
なす
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