タイトル |
ペルオキシダーゼ遺伝子導入ナスの鱗翅目害虫に対する耐虫性 |
担当機関 |
奈良県農業試験場 |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
浅尾浩史
都築正男
国本佳範
荒井 滋
新名惇彦(奈良先端大)
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発行年度 |
1999 |
要約 |
西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼ遺伝子を導入したナス属植物の葉を鱗翅目害虫(オオタバコガ、ハスモンヨトウ)に摂食させた結果、耐虫性を示す形質転換「ヒラナス」を確認した。
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背景・ねらい |
植物は害虫の食害や病原菌の侵入などによる傷害ストレスに対して種々の自己防御反応を誘導する。その一つにペルオキシダーゼのリグニン合成による耐病虫害性反応がある。そこでペルオキシダーゼ遺伝子をナスに導入して、鱗翅目害虫に対する耐虫性を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 無菌播種した「ヒラナス」と「千両二号」の胚軸に、西洋ワサビ由来のペルオキシダーゼ遺伝子(35S-prxC2 )を持つアグロバクテリウムを感染させ、形質転換体を作出する。
- prxC2 導入をPCRで確認した個体の葉からATA(aurintricarboxylic acid)法でRNAを調製し、ノーザン解析を行うと形質転換体にはバンドが見られ、導入したペルオキシダーゼ遺伝子の発現が確認できる(図1)。
- prxC2 導入した形質転換体の葉から粗酵素液を抽出し、オルトアミノフェノールを基質とした反応により生成するイソフェノキサジンを分光光度計(480nm)で測定してペルオキシダーゼ(POD)活性を算出すると、非形質転換体と比較して「ヒラナス」で は1~84倍、「千両二号」では1~20倍のPOD活性を示す個体が認められる。
- 形質転換体の新生第1葉に対して、ハスモンヨトウ(1齢幼虫)を10頭あるいはオオタバコガ(2齢幼虫)5頭を放飼すると、非形質転換体に比べて形質転換「ヒラナス」No.180 個体に放飼された両害虫は、摂食量が少なく死虫率が高い。この結果はNo.180個体が耐虫性を得たことを示す(表1、表2)。しかし、PDO活性と摂食程度に相関は無い。
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成果の活用面・留意点 |
- ペルオキシダーゼ遺伝子導入「ヒラナス」の中から耐虫性を有する個体を選抜できたので、他のナス品種においても耐虫性個体を作出できる可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
なす
播種
品種
わさび
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