タイトル |
紙マルチを利用したホウレンソウの直播栽培 |
担当機関 |
中国農業試験場 |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
亀井雅浩
熊倉裕史
田中和夫
土屋史紀
尾島一史
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発行年度 |
1999 |
要約 |
ホウレンソウの直播栽培に、多条テープシーダマルチャを用いると有孔紙マルチが利用できる。マルチ孔間隔は6cmとし、孔径は3cmとする。紙マルチの孔を3×6cmの丸長方形に改良することで、慣行の1条吸引式播種機にも利用できる。
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背景・ねらい |
ホウレンソウ栽培では雑草防除や夏季の高地温回避のためにマルチが有効であるが、栽植密度が高いために従来、導入が困難であった。有孔紙マルチと播種機を組み合わせることによって、直播栽培へのマルチの導入を可能にする。
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成果の内容・特徴 |
- 紙マルチ孔あけ機(中国農試開発)により、条播用の有孔紙マルチを作成できる。マルチ孔は円形または丸長方形で、マルチ孔の間隔は任意に変更できる。テープシーダマルチャまたは吸引式播種機により条播し、マルチ孔の条と条播位置を合わせて被覆する。
- 紙マルチは通気性・透水性を有するため、種子がマルチ孔からずれてマルチ下で発芽した場合でも枯死せずに胚軸を伸ばし、マルチ孔に到達することができる。この現象は無着色紙マルチで著しく、各種のポリマルチではあまり期待できない(表1)。
- 無着色紙マルチの場合、マルチ孔から1cm程度離れた位置で発芽しても苗立ち率や生育に及ぼす影響は少なく、2cm離れると苗立ち率や生育は抑制されるが、正常に生育する(図1)。また、シードテープを用いた多条テープシーダマルチャ(中国農試開発)では、進行方向の条間の誤差が約±1cmなので、マルチ孔は3cm径の円形でよいが、1条吸引式播種機では誤差が約±3cmであり、マルチ孔は3×6cmの丸長方形が適する(図2)。また、マルチ孔間隔は6cmが良いと判断される。
- 多条テープシーダマルチャと1条吸引式播種機で、マルチ孔を3cm×6cmの丸長方形、マルチ孔間隔6cm、条間17cmとして栽培したところ、マルチによる収穫株数の減少は少なく、共に慣行の無マルチと比較して生育・収量が優れた(表2)。播種間隔をほぼマルチ孔間隔にあわせることで間引きが不要である。
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成果の活用面・留意点 |
- 無着色紙マルチは、夏季高温期に限定されず、比較的低温期にも生産安定や環境保全的な雑草防除を目的として広く活用できる。
- 有孔紙マルチはまだ市販されていないが、需要が増加しており、メーカ側での孔開け機械の導入が進められている。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
直播栽培
播種
ほうれんそう
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