生分解性プラスチックフィルムの利用によるトマトの若苗定植

タイトル 生分解性プラスチックフィルムの利用によるトマトの若苗定植
担当機関 奈良県農業試験場
研究期間 1999~1999
研究担当者 吉田和嗣
信岡 尚
東井君枝
平山喜彦
発行年度 1999
要約 生分解性フィルムで根域制限することにより、若苗定植したトマトの初期生育を抑制し、正常果率を高めることができる。トマトの根はフィルムの分解にともなって伸長するので、慣行の成苗定植に近い生育を示す。
背景・ねらい  トマト栽培において育苗に要する労力は大きく、省力化のために若苗定植技術の確立が求められている。若苗定植では定植直後の生育が旺盛なために果実品質の低下が問題となっているが、養水分管理によって生育制御が可能な畑作地帯と異なり、水田地帯では根域制限が最も有効な対策である。そこで、土中で分解する生分解性フィルムの特徴を生かし、定植後の苗の根域を制御することで、若苗定植における生育や果実品質の安定化を可能とした。
成果の内容・特徴
  1. 生分解性フィルムS-2(T社製、成分:脂肪族ポリエステル)に、ピートモス、ベントナイト、キチンおよび木粉を添加すると分解速度が速まり、タルクを添加すると遅くなる(図1)。タルクを添加したフィルムは薄膜化が比較的容易であり、原料コストの低減と分解速度の調節が可能である。
  2. フィルムの分解はフィルムが薄いほど、また地温が高いほど早まる。
  3. 畝の上に生分解性フィルムを敷き、株あたり6~9_の土を載せて、葉数3~4枚のセル苗を定植する(図2)と、根域が制限されるために初期生育が抑えられ、異常茎や空洞果など、若苗定植にともなう生育や果実の障害が回避できる(表1)。フィルムは生育中期に分解し、根域が広がるので、中後期の収量に及ぼす影響は小さく、初期の正常果収量が増大する。フィルムの厚さは0.07mmから0.1mmが適する。
  4. フィルム上に土を載せる作業には小型管理機が利用できる。フィルムはトマト収穫中にほぼ崩壊するので、掘り出さずに耕耘して、ただちに後作の作付が可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 地下水位の高い水田作のトマト栽培に適用できる。
  2. フィルムは未発売で、実用化については検討中である。

図表1 210938-1.jpg
図表2 210938-2.jpg
図表3 210938-3.jpg
カテゴリ 育苗 コスト 栽培技術 省力化 水田 トマト

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